ブックタイトル株式会社京都銀行 ディスクロージャー誌 2019

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概要

株式会社京都銀行 ディスクロージャー誌 2019

信用リスク管理信用リスクとは、与信先の経営状態の悪化等により貸出金の元本や利息が回収できなくなることや有価証券の価値が減少することで損失を受けるリスクをいいます。このうち、特に、海外の与信先の属する国における外貨事情や政治・経済情勢等の変動により損失を受けるリスクをカントリー・リスクといいます。当行では、「信用リスク管理規程」により、管理態勢を定め、また、信用リスクに関する総合的な管理態勢の整備・確立をはかるため、リスク統轄部担当役員を委員長とする「信用リスク管理委員会」を設置し、信用リスク管理の強化に取り組んでいます。リスク統轄部信用リスク管理担当では、内部格付・自己査定制度、償却・引当など信用リスク管理の企画・統轄を行うとともに信用リスクの計量的な分析・把握を行っています。加えて、特定の取引先、特定の業種等に与信が集中していると、環境の変化等に伴い、大きな損失が発生する可能性があるため、さまざまな角度からポートフォリオの状況を分析し、過度な与信集中が起こらないよう管理しております。信用リスク量や与信集中状況については、毎月の信用リスク管理委員会に報告を行っております。また、資産の健全性の維持・向上のために、連結子会社を含め、資産の自己査定を実施し適正な償却・引当を行っているほか、監査部に専門担当部署として資産監査室を設け、自己査定の実施状況およびこれに基づく償却・引当の妥当性を監査しております。一方で、個別与信管理においては、営業部門から独立した審査部門として融資審査部を設け、厳格な審査を行っております。与信を行うにあたっては、融資審査部内の格付審査の担当が与信先の財務状態、技術力、将来性等に基づき債務者格付の付与を厳格に行い、それを踏まえ、融資案件審査の担当が資金使途や返済原資と合わせ総合的に返済能力を判断しております。また、行員の階層別の融資業務研修を実施するなど審査能力の向上にも注力しております。あわせて、融資審査部内に経営支援室を設置し、各種の経営改善支援策を通じて経営不振先の抜本的な事業再生をはかり、当行資産の健全化に取り組んでいるほか、自己査定結果に基づき、与信先に対して、個別に対応方針を策定するとともに、継続的なモニタリングを通じ、業況の変化に応じた対応を実施するなど、リスク管理の強化に努めています。市場リスク管理市場リスクとは、市場の金利変動により調達と運用の利鞘が縮小または逆転することを指す金利リスクや、市場価格の変動によって損失を被る価格変動リスクなどをいいます。市場価格の変動は、当行が損失を被るリスクを内包している反面、一方では、収益を得るチャンスでもあるため、リスクを回避するだけでなく、安定した収益の実現を含めた管理体制の整備が重要となっています。当行では、「市場リスク管理規程」を定めるとともに、リスク管理態勢を整備し、十分な市場リスク管理を実施しております。また、所管部であるリスク統轄部においては、預金・貸出金・有価証券等の資産・負債から発生する市場リスクを一元的に把握し、管理しております。具体的には、当行の資産・負債に対し、「VaR(バリュー・アット・リスク)」、「ΔEVE(金利ショックに対する経済的価値の減少額)」等を計測し、リスク管理・分析を行うほか、さまざまなストレスシナリオを前提としたストレステストを実施して、リスクチェックに活用しています。また、バックテスティングを通じて、計量化手法や管理方法の妥当性・有効性についても検証しております。また、有価証券、デリバティブ取引などの市場取引に対しては、市場リスクを適切に管理するため、適正かつ正確な時価の定期的な計測と把握に努めるとともに、自己資本・業務純益といった当行の体力や収益とのバランスを考慮したうえで、ポジション枠・損失限度額等のリスク許容度を設定し、保有するポジションのリスク管理を行っております。特に、株式等にかかるリスクに対しては、自己資本および株式等の評価益をもとにリスク許容量を設定し管理する方針としており、日々のポジション・損益、リスク量を算出し、計数を経営陣に報告する等、十分なリスク管理を行っております。さらに、当行および連結子会社が保有している株式等については、6か月毎に実施する自己査定を通して正確な実態把握に努めており、実施した自己査定の結果は、監査部にて監査しております。なお、これらのリスク管理方針については、半期毎に見直しを行っており、算出した各リスク量は、毎月のALM会議において報告し、資産・負債構成の適正化やリスクヘッジ等の対応策を検討し、戦略的なリスクマネジメントに努めております。流動性リスク管理流動性リスクとは、資金の運用と調達の期間ミスマッチや予期しない資金の流出等により資金繰りに支障をきたし、通常よりも著しく高いコストの資金調達を余儀なくされて、損失を被るリスク、ならびに市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。当行では、資金の運用・調達残高の予想・検証を入念に行うことにより、資金ポジションの適切な管理を行うとともに、市場からの調達可能額を常時把握する体制をとり、流動性リスクに備えております。また、流動性ストレステストを定期的に実施し、予期せぬ資金流出が発生した場合における資金繰りへの影響についても検証を行っております。41