ブックタイトル株式会社京都銀行 ディスクロージャー誌 2019

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概要

株式会社京都銀行 ディスクロージャー誌 2019

頭取メッセージ取締役頭取(代表取締役)土井伸宏地方銀行のあり方が問われる時代~平成の教訓~平成の日本経済を「金融」という視点で振り返りますと、金融の二つの大きな出来事が経済全体へ影響を及ぼし、その後の不況へとつながったことが指摘できるのではないでしょうか。一つはバブル崩壊を端緒とする不良債権問題と都市銀行などの大再編で、もう一つが米国発リーマン・ショックです。いずれも金融の崩壊が地域産業や地域経済にも波及し大きな打撃を与えたわけですが、この二つの出来事は、“産業や地域とともに歩み、その発展に寄与する”という金融が本来果たすべき役割を再認識させる、平成の教訓の一つとして残りました。この間、インターネットに代表されるように、技術革新による新たなサービスが世界に普及し、その恩恵を受けた私たちの生活は飛躍的に快適性を増し、消費行動も様変わりしました。その一方で、国内では人口減少と高齢化が同時進行する構造変化を背景に、地域経済をけん引する産業の振興をはじめ、高度成長期に建設された社会インフラの老朽化対策や住民の生活を支える地域医療体制の構築など多岐にわたる課題が浮上し、地域経済活性化や持続可能な街づくりに必要な対策を、さまざまな角度から講じていくことが喫緊の課題となっています。このように人々の生活や地域経済を取り巻く環境が大きく変化しているだけに、令和の時代は、地方銀行のあり方が一段と問われる時代になると考えております。お客さま一人一人、一社一社が抱える多様な課題を起点に、その解決に資する金融サービスをご提供することに加えて、地域を俯瞰する中で見えてくる課題にもスポットをあて、行政等との連携のもと解決に導くような取り組みも必要です。こうした時代の変化に向き合い、地域の期待に応え続け、平成の教訓を生かしてこそ、新しい時代においても、お客さまに選ばれる地方銀行として存続できるのだと考えております。当行の歴史を振り返り当行の沿革を顧みますと、戦後の復興期、京都市内の中小企業が慢性的な資金ひっ迫に陥り、成長への制約を受けかねない金融環境が続く中、この状況を危惧した京都市各界などからの要請に対応する形で、本店を京都府北部の福知山市から京都市内へ移転いたしました。以降、京都市内をはじめ京都府内全域に立地する多種多様な中小企業金融の円滑化に努めることで、地元本店銀行としての存在感を高めてまいりました。ちょうどその頃、京都に登場したのが、高度な技術開発力と独創的な経営で優れた製品を生み出すベンチャー企業の数々でした。当行はこれらの企業に融資や出資など金融面から意欲的にサポートを続け、そのなかには、その後わが国を代表するグローバル企業へと成長を遂げた企業も少なくありません。「ベンチャーの都」と称えられた京都で、こうしたベンチャー企業との間で創業期から関係を構築し、ともに成長の道を歩むことができた歴史は、「地域社会の繁栄に奉仕する」を経営理念とする当行にとって4