NISAのつみたて投資枠の積立金額は変更できる?タイミングやデメリットも解説

新NISAの「つみたて投資枠」では、毎月10万円までの非課税投資ができるようになりました。一方で、投資できる金額が大幅に増えたことで、毎月の投資額に悩む方もいるかもしれません。つみたて投資枠の積立金額は、いつでも変更できます。長期的な資産運用のためには、ライフスタイルの変化や家計の状況に応じて、柔軟に変更することが大切です。
本記事では、つみたて投資枠の積立金額変更のタイミングや方法、注意点を詳しく解説します。また、積立金額の変更が運用益に与える影響をシミュレーションし、積立の継続が難しくなった場合の対処法も紹介します。
- つみたて投資枠の積立金額変更方法
- 積立金額の設定を変えるべきタイミング
- 積立金額を変更するときの注意点
目次
OPENNISAのつみたて投資枠はいつでも積立金額変更が可能
つみたて投資枠は、NISAの投資枠のひとつです。長期的な資産形成を目的とした投資制度ですが、ライフスタイルや経済状況の変化などに応じて、いつでも積立金額の変更ができます。
たとえば、転職や退職などで収入が減ったときや、ライフイベントなどで大きな出費があったときには積立が難しくなるかもしれません。一方で、収入が増えたなど資金に余裕ができたときは、積立金額を増やすことも可能です。
投資で資産を増やすためには、長期で積立を続けることが重要です。毎月の積立金額は、経済状況に応じて無理のない金額に調整し、 続けることを意識しましょう。
つみたてNISA(旧NISA)からの変更点
旧NISAのつみたてNISAで購入した商品は、購入から最大20年間運用はできますが、新規の買付はできず、金額変更もできません。その他に旧NISAから新NISAに移行したことによる変更点は次の通りです。

つみたて投資枠では、年間投資枠が120万円に拡大され、毎月の積立金額は最大10万円まで設定できるようになりました。この範囲内であれば、積立金額は毎月自由に設定・変更が可能です。
旧NISAでは、年間投資枠の40万円を使い切らなければ、非課税保有限度額(800万円)を最大限に活用できませんでした。しかし、新制度では非課税保有期間が無期限となり、年間投資枠を無理に使い切る必要がなくなりました。
これらの変更により、より長期的な視点で、無理なく資産形成ができるようになったのです。
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つみたて投資枠の積立金額変更は、金融機関によって方法が異なります。一般的に、店頭窓口またはインターネット上で手続きが可能です。
インターネットで積立金額変更を行う場合は、金融機関のマイページにログインして積立設定の画面から設定変更を行います。
ただし、金額設定の反映は即日ではなく数日かかるケースがある点には注意が必要です。また、金融機関ごとに積立金額や購入商品の変更には締め切り日が設定されています。「来月から積立金額を減らしたい」といった場合、何日までに手続きをすればいいかを事前に確認しておきましょう。
京都銀行の積立金額変更方法
京都銀行でNISAをご利用の場合、次の3つの方法で積立金額の変更が可能です。
- 投資信託の取引店の窓口
- 京銀ダイレクトバンキング
- 京銀アプリ
ただし、京銀ダイレクトバンキングや京銀アプリで積立金額変更を行う場合、あらかじめ京銀ダイレクトバンキングや京銀アプリを申し込みのうえ投資信託口座を登録する必要があります。
つみたて投資枠の積立金額変更を検討したいタイミング
つみたて投資枠の積立金額変更はいつでも可能ですが、次のようなタイミングで変更を検討するとよいでしょう。
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家計の状況が変わったとき:減額または増額を検討
家計の収入や支出が変化したときは、積立金額の変更を検討するいいタイミングです。
たとえば、転職や昇給などで収入が増えた場合、積立金額を増やすことでより効率的な資産形成ができる可能性があります。一方で、収入が減った場合は、生活の安定を優先しつつ無理なく積立を続けるために、積立金額の減額を検討したほうがよいこともあるでしょう。
結婚、出産、住宅購入などのライフイベントにより支出が増えた場合も、家計の状況が大きく変わることがあります。現状の積立金額で家計に負担が生じるようであれば、一時的な減額を検討してもよいかもしれません。
年間投資枠を使い切りたいとき:ボーナス設定を検討
つみたて投資枠で投資できる年間投資枠は120万円です。この枠を最大限活用したい場合、毎月一定額の積立を前提とするなら、積立金額を10万円にする必要があります。
多くの金融機関では、毎月の積立金額を10万円以上に設定することはできないため、年度途中からNISAを始めた場合や、毎月の積立金額が10万円未満の場合、年間投資枠を使い切れません。ただし、金融機関によっては「ボーナス設定」や「増額設定」を利用できることがあります。年間投資枠を使い切るためには、これらの方法を活用するのもひとつの手でしょう。
つみたて投資枠の積立金額変更に関するデメリット・注意点
つみたて投資枠の積立金額変更には、メリットだけでなくデメリットや注意点もあります。ここで紹介する内容を考慮したうえで、慎重に判断してください。
ドル・コスト平均法の効果が薄れる可能性がある
つみたて投資枠は、定期的に一定額の金融商品を購入し続けることで、購入価格が平均化される「ドル・コスト平均法」を活用した投資手法です。この方法では、価格が安いときには多く買い、高いときには少なく買うことができるため、リスクを軽減しながら安定した運用を目指せます。

しかし、積立金額を頻繁に変更すると、このドル・コスト平均法の効果が薄れてしまう可能性があります。たとえば、市場価格が高いときに積立金額を増やすと、その後価格が下がったときに損失が大きくなるリスクがあるのです。
つみたて投資枠を利用した運用は、中長期的に安定した成果を目指すため、ドル・コスト平均法を活用することが大切です。積立金額はいつでも変更できますが、頻繁な変更はドル・コスト平均法の運用効果が薄れてしまう点に注意しましょう。
減額する場合:運用益が少なくなる可能性がある
つみたて投資枠で積立金額を減額すると、購入する金融商品の口数が減り、将来的な運用益が少なくなる可能性があります。また、複利効果による利益も小さくなるため、長期的な資産形成に影響を及ぼすかもしれません。
複利とは、元本と利益を足した「元利」に利益が発生する仕組みです。運用期間が長ければ長いほど、複利の効果は大きくなります。

増額する場合:数年以内に使う予定の資金の投資はリスクがある
つみたて投資枠は長期的な資産形成を目的としており、短期的には保有資産の評価額が投資した金額を下回る「元本割れ」の状態になることがあります。資金に余裕がある場合は増額を検討するのもひとつの選択肢ですが、急な値下がりで損失を被るリスクがあることを知っておきましょう。
金融庁の統計では、保有期間が5年間の場合は元本割れが起こるケースがあったものの、保有期間20年では運用成果がプラスで安定したという結果も出ています。あくまで過去の統計ではありますが、1年後の結婚資金や3年後の住宅購入など、近い将来に使う予定のあるお金は投資に回さず預金で管理するなど、リスク許容度に合った運用をすることが大切です。
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つみたて投資枠の積立金額変更をした場合、運用益はどのくらい変わる?
ここでは、積立金額を増額した場合と減額した場合で、資産がどのくらい変わるかをシミュレーションで紹介します。
積立金額を5万円から3万円に減額した場合
毎月の積立金額を5万円から3万円に減額して20年運用した場合のシミュレーションは次のとおりです。

以上のシミュレーションから、想定利回りが年率5%で20年間運用する場合、毎月の積立金額を5万円から3万円に減額すると、資産合計で約822万円の差が生まれることがわかります。
積立金額を1万円から3万円に増額した場合
次に、毎月の積立金額を1万円から3万円に増額して20年運用した場合のシミュレーションを見てみましょう。

想定利回りが年率5%で20年間運用する場合、毎月の積立金額を1万円から3万円に増額すると、約822万円多く資産を増やせる可能性があることがわかります。
監修者コメント

シミュレーションはあくまでも想定通りに運用できた成果に過ぎませんが、毎月の積立金額と積立年数で大きく結果に差が出ることが分かります。
つみたて投資枠での積立が難しくなった場合の対処法
つみたて投資枠では、少額でも長期間の積立や分配金を再投資することで、資産を大きく増やせる可能性があります。しかし、生活の状況によっては積立の継続が難しくなることもあるかもしれません。その場合は、次に紹介する3つの方法を検討してみてください。
- 積立金額を減額する
- 積立を停止する
- 売却を検討する
それぞれ詳しく説明します。
1. 積立金額を減額する
つみたて投資枠での積立が難しくなった場合、まずは積立金額の減額を検討しましょう。
家計を見直して不要な支出を減らしたうえで、いくらであれば無理なく積立を続けられるかを考えます。たとえば、毎月の積立金額が5万円なら3万円に減らすなど、無理のない範囲で積立を継続することが大切です。
積立を完全に止めてしまうと、先ほど説明したドル・コスト平均法の効果も弱くなってしまいます。少額でも積立を継続することが、長期的な資産形成につながります。減額すれば、その分将来の運用益が減少する可能性があることは念頭に置いておきましょう。
2. 積立を停止する
家計の見直しを行ったうえで、どうしても積立の継続が困難な場合は、一時的に積立を停止することもひとつの選択肢です。金融機関によっては積立の停止が「積立設定の解除」と表現されるケースもあります。
積立を再開する際に再度積立設定が必要です。
積立の停止や解除は売却とは異なり、停止中も保有している金融商品の運用は継続されます。積立を止めている間も定期的に資産状況を確認し、家計に余裕ができたタイミングで再開することを検討しましょう。
3. 売却を検討する
減額や停止でも対応が難しい場合や、まとまったお金が必要になった場合は、保有資産の一部または全部の売却を検討しなければならないこともあるかもしれません。ただし、売却にあたって、いくつか注意点があります。次の注意点をしっかり確認したうえで、売却するかを慎重に検討してください。
- 複利効果が得られなくなる
- 旧NISAの資産は売却しても非課税投資枠が再利用できない
- 売却した資産の現金化には数日かかる
- 売却後に積立を停止する場合は別途手続きが必要になる
これらの注意点や売却方法は、こちらの記事で紹介しています。
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NISAの運用方法に関するご相談は京都銀行へ
京都銀行では、つみたて投資枠や成長投資枠を利用した非課税投資が可能です。
使いやすく画面が見やすい「京銀アプリ」なら、「マイナンバーカード」または「通知カードと運転免許証または運転経歴証明書」があれば、来店不要かつ最短2営業日で投資信託口座とNISA口座を開設できます。
もちろん、店頭でも口座開設は可能です。店頭での口座開設を希望する場合、WEBまたは電話での来店予約をしてください。
また、京都銀行では口座開設だけでなく、お金に関する相談を承っています。平日お忙しい方は、無料の「土・日ご相談プラザ」「土曜ご相談プラザ」をご活用ください。

つみたて投資枠の積立金額変更に関するよくあるご質問
Q.つみたて投資枠の積立金額変更はいつでもできますか?
A.
つみたて投資枠の積立金額は、一般的に金融機関のマイページなどを通じていつでも変更可能です。ただし、金額変更が反映されるタイミングは金融機関によって異なります。「来月から積立金額を変更したい」といった場合、いつまでに手続きする必要があるか確認することが大切です。
Q.つみたて投資枠の積立金額変更は何回までできますか?
A.
つみたて投資枠の金額変更に関して、基本的には回数制限は設けられていません。ただし、ボーナス設定や増額設定は、金融機関によって年2回などの制限が設けられている場合があります。利用している金融機関のWEBサイトなどで事前に確認しておきましょう。
Q.つみたて投資枠の積立金額変更のデメリットはありますか?
A.
積立金額を頻繁に変更すると、ドル・コスト平均法の効果が薄れてしまうことがあります。また、積立金額を減額する場合は、元本も減少するため運用益が少なくなる可能性があります。その点も考慮して慎重に検討することが大切です。
Q.つみたて投資枠の積立金額を0円にすることはできますか?
A.
設定できる積立金額の範囲は金融機関によって異なりますが、1,000円や100円からというケースが多いです。積立金額を0円にしたい場合、積立の停止や積立設定の解除が必要になります。
監修者コメント

いちどに大きな金額の投資はできなくても、時間をかけて積み立てて、資産を大きくすることは可能ではないでしょうか?短期的な利益を狙おうとせず、つみたて投資枠を使ってコツコツ資産を増やしていきましょう。