つみたて投資枠のボーナス設定とは?デメリットや注意点

更新日:2025/06/05
つみたて投資枠のボーナス設定とは?デメリットや注意点

NISAのつみたて投資枠では、毎月の積立金額に加えて、指定した月の積立金額を増やす「ボーナス設定」が可能です。ボーナス設定を活用すれば、ボーナス等が入る月に合わせて投資額を増やすことができます。

ただし、金融機関によってはボーナス設定に対応していない場合があり、対応している場合でも支払方法や積立方法が制限されることがあります。

この記事では、ボーナス設定を行った場合の積立金額のシミュレーション結果を挙げながら、デメリットや注意点まで詳しく紹介しています。

この記事で分かること
  • つみたて投資枠のボーナス設定は、年2回まで増額月を指定できる
  • ボーナス設定を活用すれば、年間投資枠を使い切れるなどのメリットがある
  • ボーナス設定は、金融機関や支払方法、積立方法に制限がある場合があることや、ドル・コスト平均法の効果が薄れるなどのデメリットもある
監修者
金子賢司(かねこけんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)
金子賢司

ボーナス設定を利用する前に、急な出費に備える生活防衛資金の確保や、家計全体の収支バランスを再点検しておくと安心です。余裕資金の範囲内で実行し、無理なく続けながらリスクを分散しましょう。

目次

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つみたて投資枠の「ボーナス設定」とは

つみたて投資枠のボーナス設定とは、毎月の積立金額に加えて、特定の月に積立金額を増やせる設定のことです。

一般的にボーナス設定では、つみたて投資枠の年間投資枠120万円に収まる金額の範囲内で、年2回まで指定した月に増額ができます。
たとえば、毎月の積立金額を5万円、6月と12月のみ積立金額を10万円にするといった設定が可能です。

ただし、金融機関によってはボーナス設定に対応していない場合があるため注意が必要です。

つみたて投資枠でボーナス設定した場合のシミュレーション

ボーナス設定をすると利益がどれくらい増えるのか、次の2パターンで紹介します。

  • 通常の積立金額が3万円・ボーナス月の積立金額が7万円の場合
  • 通常の積立金額が5万円・ボーナス月の積立金額が10万円の場合

通常の積立金額が3万円・ボーナス月の積立金額(6月・12月)が7万円の場合

毎月3万円を積み立てし、ボーナス月(6月・12月)のみ積立金額を7万円(通常+4万円)とした場合のシミュレーション結果は、次のとおりです。

【シミュレーション条件】
想定利回り:年5%
積立年数:20年
毎月積立額:3万円
ボーナス加算額:4万円

通常の積立金額が3万円・ボーナス月の積立金額(6月・12月)が7万円の場合

※あくまでもシミュレーションの結果であり、実際の運用成果は異なります。

ボーナス設定を活用せずに毎月3万円を利回り年5%で20年積立運用した場合は約921万円です。しかし、毎年2回増額した場合は約1,491万円と、さらに大きな利益が期待できます。

相場下落時のタイミングで増額をすることにより将来の利益につながる可能性もあります。

通常の積立金額が5万円・ボーナス月の積立金額(6月・12月)が10万円の場合

毎月5万円を積み立てし、ボーナス月(6月・12月)のみ積立金額を10万円(通常+5万円)とした場合のシミュレーション結果は、次のとおりです。

【シミュレーション条件】
想定利回り:年5%
積立年数:20年
毎月積立額:5万円
ボーナス加算額:5万円

通常の積立金額が5万円・ボーナス月の積立金額(6月・12月)が10万円の場合

※あくまでもシミュレーションの結果であり、実際の運用成果は異なります。

ボーナス設定を活用せずに毎月5万円を利回り年5%で20年積立運用した場合は約1,822万円になりますが、毎年2回増額した場合は約2,373万円になる可能性があります。

つみたて投資枠のボーナス設定のデメリット

つみたて投資枠のボーナス設定をするとより効率的な資産形成ができる可能性はありますが、次のようにデメリットもあるため注意が必要です。

金融機関や支払方法によってはボーナス設定ができない場合がある

つみたて投資枠のボーナス設定は、金融機関によっては対応していない場合があります。対応していても、特定の支払方法は対象外といった場合もあります。

そのため、ボーナス設定を利用したい場合は、取引している金融機関に事前に確認するようにしましょう。

ボーナス設定に対応していない金融機関を利用している場合は、毎月の積立金額を増やす「増額設定」を検討しましょう。

支払方法の変更が必要な場合がある

ボーナス設定を利用する際、従前の積み立てとは異なる支払方法への変更が必要になることがあるため注意が必要です。

たとえば、クレジットカードで積立購入をしていた場合でも、ボーナス設定を付加するとクレジットカード決済が利用できないといったケースがあります。

ボーナス設定を優先する場合は、今までの支払方法から、口座引き落としや現金決済などボーナス設定が可能な支払方法に変更する必要があるため、変更手続きが増える点はデメリットに感じるかもしれません。

ドル・コスト平均法の効果が薄れる可能性がある

「ドル・コスト平均法」とは、定期的に一定額の金融商品を購入し続けることで市場の変動に左右されにくくし、平均購入単価を抑える効果が期待できる投資手法のことです。

ドル・コスト平均法

ボーナス設定では一度に大きな金額を投資するため、この効果が弱まる可能性があります。

つみたて投資枠のボーナス設定に関する注意点

つみたて投資枠でボーナス設定をする場合は、次の点に注意しましょう。

申込期限内に手続きを行う

ボーナス設定は、各金融機関や投資銘柄ごとに申込期限(申込設定日)が定められており、期限を過ぎると、希望する月にボーナス設定を反映させることができません。

ボーナス設定を利用したい場合は各金融機関の締切日を確認し、金融機関の営業日やシステムメンテナンスなどの影響も踏まえて、早めに手続きを行うことが大切です。

年間投資枠を超えないように注意する

ボーナス設定を活用して積立金額を増やす際は、つみたて投資枠の年間投資枠120万円を超えないように注意することが重要です。

たとえば、毎月の積立金額が7万円の場合、通常の積み立てで年間84万円投資することになるため、ボーナス設定できる上限は36万円(120万円-84万円)となります。

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ボーナス設定は翌年以降も継続される

ボーナス設定をした場合、一般的には翌年以降も自動的に継続されます。翌年のボーナス設定の金額を変更したい場合や、ボーナス設定を解除したい場合は、改めて変更手続きを行う必要があるため注意しましょう。

つみたて投資枠の積立設定の種類

積立の増額方法には「ボーナス設定」と「増額設定」があります。NISA口座を保有している金融機関がボーナス設定に対応していない場合でも、増額設定は利用できることが一般的です。

ボーナス設定と増額設定はどちらも積立金額を変更できる仕組みですが、ボーナス設定はボーナス等が入る月に合わせて投資額を増やすなどの一時的な増額、増額設定は継続的な積立金額の変更といった点が異なります。ただし、ボーナス設定や増額設定が利用できるかどうかは、金融機関や決済方法などで異なります。

増額設定とボーナス設定

たとえば、増額設定で毎月の積立金額は3万円から5万円にすると、それ以降は毎月5万円ずつ積み立てられます。

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金子賢司(かねこけんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)
金子賢司

ご自身の家計を考慮したうえで、ボーナス設定と増額設定を使い分けながら、無理なく積立額を増やしていきましょう。

つみたて投資枠での増額を検討したいタイミング

年間投資枠を使い切りたいときや、ボーナスなどの臨時収入が入ったときは、ぜひボーナス設定を検討しましょう。

年間投資枠を使い切りたいとき

毎月の積立額が10万円未満の場合や年度途中からNISAを始めた場合、つみたて投資枠の年間投資枠120万円を最大限活用はできません。しかし、ボーナス設定を利用すれば、年間投資枠を使い切れる場合があります。

たとえば、毎月8万円の積立に加えて、6月と12月に12万円のボーナス設定をすれば、年間120万円の投資枠を使い切れます。
家計状況や資金計画に応じて無理なく積立を続けることが大切です。

相場のタイミングによって運用効果が高まるとき

つみたて投資枠での運用は、相場の変動を気にせず一定額を積み立てていくことでリスクを抑える仕組みです。しかし、相場が大きく下落する局面で増額をすると運用効果が高まることもあります。

たとえば、通常は毎月3万円を積み立てている方が、相場が下落したタイミングで一時的に5万円に増額するとより多くの口数が購入できるため、将来相場が上昇したときに利益が出やすくなります。

ただし、相場の動きに惑わされすぎず、冷静な判断を心がけることも大切です。自分の資金状況や目的に合わせて、無理のない範囲で増額を検討しましょう。

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つみたて投資枠のボーナス設定の設定方法

ボーナス設定は金融機関によって異なりますが、インターネットで手続きできることが一般的です。

金融機関のWEBサイトでマイページにログインして、積立設定画面から金額を設定しましょう。

確認画面では、金額や指定月の設定に誤りがないかしっかり確認することが大切です。

京都銀行での設定方法

京都銀行の場合は、次の3つの方法でボーナス設定や積立金額の増額設定が可能です。

  • 投資信託の取引店の窓口
  • 京銀ダイレクトバンキング
  • 京銀アプリ

京銀ダイレクトバンキングやアプリなら、24時間いつでも手続きが可能です。京銀ダイレクトバンキングや京銀アプリを利用する場合は、あらかじめ京銀ダイレクトバンキングや京銀アプリの申込みをして、投資信託口座をご本人口座に登録する必要があります。

窓口での手続きの場合はお届出印が必要です。

なお、積立日当日や積立日前後1営業日は手続きできないため注意しましょう。

京銀ダイレクトバンキングのご利用はこちらから

京銀アプリのご利用はこちらから

つみたて投資枠の運用に関する相談は京都銀行へ

京都銀行では、店頭でNISAの口座開設ができるだけでなく、資産運用に関する相談も行っています。NISA口座開設後に運用方法でわからないことがある場合も、じっくり相談が可能です。

平日お忙しい方は、無料の「土・日ご相談プラザ」「土曜ご相談プラザ」をご活用ください。来店の際はWEBで来店予約または各相談プラザにお電話ください。

選べる2つの開設方法

つみたて投資枠のボーナス設定に関するよくあるご質問

Q.つみたて投資枠のボーナス設定に上限額はありますか?

A.

つみたて投資枠のボーナス設定は、年間投資枠の120万円の上限を超えない範囲で設定が可能です。

たとえば、1月から毎月5万円を積み立てている場合、年間の投資金額は60万円となるため、60万円(120万円−60万円)を上限にボーナス設定が可能です。なお、ボーナス月は年2回まで設定できます。

Q.つみたて投資枠のボーナス設定は、何日前までに行えばいいですか?

A.

ボーナス設定の期限は金融機関や投資銘柄、支払方法などによって異なります。

ボーナス設定に対応している金融機関では、積立指定日の数日前に申込期限を設けているため、それまでには手続きを完了させる必要があります。金融機関の営業日やシステムメンテナンスなどの影響を考慮し、余裕を持って手続きを行うことが大切です。

Q.どの金融機関でもボーナス設定はできますか?

A.

ボーナス設定は、金融機関によっては対応していない場合があります。
また、ボーナス設定に対応している金融機関でも、支払方法・積立方法によってはボーナス設定ができない場合があります。

NISA口座を開設している金融機関のWEBサイトなどで確認してみましょう。

Q.つみたて投資枠のボーナス設定をしても余剰資金がある場合、どのように運用すればいいですか?

A.

年間投資枠の上限に達し、さらに余剰資金がある場合は、成長投資枠の活用を検討するとよいでしょう。
つみたて投資枠と成長投資枠を併用すれば、年間360万円まで投資できます。