つみたて投資枠は複数銘柄を保有できる!商品の選び方と組み合わせの例

つみたて投資枠では、運用する銘柄の数に上限はなく、複数の銘柄を運用できます。ただし、組み合わせ方によってはそれぞれの特徴を活かせないまま運用することになりかねません。
そこで、複数銘柄を運用するメリット・デメリットや、1つの銘柄を運用するメリット・デメリットをそれぞれ解説したうえで、複数銘柄を運用する場合の銘柄の選び方を解説します。実際の銘柄を組み合わせたポートフォリオ例も紹介していますので、あわせて参考にしてください。
- つみたて投資枠では、複数銘柄を運用できる
- 複数銘柄を上手に組み合わせると、ご自身のリスク許容度や資産目標にあった運用ができる
- つみたて投資枠で複数銘柄を運用する場合は、値動きの異なる銘柄を組み合わせることが大切
目次
OPENつみたて投資枠では複数銘柄の運用も可能
つみたて投資枠では、運用する銘柄の数に上限はありません。単一銘柄はもちろん、複数銘柄を運用することも可能です。しかし、つみたて投資枠で複数銘柄を運用する場合は、多くても3銘柄ほどに絞るとよいでしょう。
安定的に運用するためには分散投資が重要ですが、運用する銘柄が多すぎても管理が煩雑になる可能性があります。
つみたて投資枠で複数銘柄を運用するメリット・デメリットを押さえたうえで、ご自身のライフプランにあった銘柄を2つまたは3つほど選択しましょう。
つみたて投資枠で複数銘柄を運用する場合のメリット・デメリット
つみたて投資枠で複数銘柄を運用する場合は、次のメリットとデメリットがあります。
- リスクの許容度にあわせて組み合わせられる
- 値動きの異なる銘柄を組み合わせることでリスクを抑えて運用できる
- 組み合わせ方によってはメリットがない
- 銘柄選び・管理で迷ってしまう
【メリット】リスクの許容度にあわせて組み合わせられる
「リスク許容度」とは、投資による損失をどこまで受け入れられるかを示す限度のことです。年齢が若い場合や世帯年収・保有する預貯金が多い場合など、損失が出ても受け入れられる限度が高い場合は「リスク許容度が高い」といえます。
つみたて投資枠で運用する投資信託は、銘柄によって、投資対象の地域や資産(国内/海外、株式/債券/不動産)、運用方法などが異なります。リスクを抑えたい場合は値動きが比較的安定している債券比率が高いファンドを中心にしたり、高いリターンを目指したい場合は外国株式や新興国株式の比率が高いファンドを中心にしたりと、柔軟に組み合わせることが可能です。
【メリット】値動きの異なる銘柄を組み合わせることでリスクを抑えて運用できる
応援したい企業を投資という形で応援できるのも、投資の魅力のひとつです。
応援したい企業がリスクの高い銘柄であった場合でも、値動きが異なる銘柄もあわせて運用することで、価格変動リスクを抑えて、安定的な運用を目指せます。たとえその銘柄の基準価額が下落しても、他の銘柄の基準価額が上昇すれば、大きな損失を回避できます。
【デメリット】組み合わせ方によってはメリットがない
国内株式ファンドA+国内株式ファンドBなど、似た内容で構成されている銘柄を複数運用すると、銘柄分散による安定的な運用が期待できず、損失が大きくなってしまう可能性があります。
複数銘柄を安定して運用するには、国内株式ファンドA+米国株式ファンドB+外国債券、国内株式ファンドA+国内債券+不動産といったように、異なる資産で構成された銘柄を複数組み合わせるとよいでしょう。
【デメリット】銘柄選び・管理で迷ってしまう
選べる銘柄は利用する金融機関によって異なるものの、豊富な銘柄のなかからご自身の許容度やライフプランにあった銘柄を選ぶのは困難でしょう。
つみたて投資枠の対象銘柄は300本以上です。さらに、銘柄によって投資対象の地域や資産(国内/海外、株式/債券/不動産)、運用方法など特徴が細かく異なります。SNSなどでおすすめの銘柄が紹介されている場面もありますが、人によって適切な銘柄は異なります。
さらに、投資は銘柄を決めて購入したら終わりではありません。
複数銘柄に投資したとしても、投資信託の基準価額は日々変動するため、購入時に決めた割合から大きくズレてしまうこともあります。そのため、定期的に資産配分を確認し、そのときのリスク許容度にあわせてメンテナンスすることが大切です。これを「リバランス」といいます。

つみたて投資枠でひとつの銘柄を運用する場合のメリット・デメリット
つみたて投資枠でひとつの銘柄を運用する場合は、次のメリットとデメリットがあります。
【デメリット】価格が暴落した際の損失が大きい
【メリット】ひとつの銘柄だけでもリスクの分散ができている
投資信託は、1つの商品だけで数十〜数百、商品によっては数千の銘柄に分散投資できる金融商品です。たとえば、京都銀行のつみたて投資枠で運用できる「はじめてのNISA・日本株式インデックス(日経225)」は、原則として200銘柄以上の国内株式に分散投資を行っています。
なかには、次の図のように1つの商品を購入するだけで、複数の国や地域の株式や債券などの資産に分散投資できるバランス型投資信託もあります。

このように、銘柄によっては1つの銘柄のみで資産分散ができているため、必ずしも複数銘柄を運用する必要はありません。
【デメリット】価格が暴落した際の損失が大きい
株式の組み入れ比率が高い投資信託は、株価変動の影響を受けやすく、投資信託を構成する株価が暴落すれば、損失が大きくなる可能性があります。
大きな損失を避けるには、株式の組み入れ比率が高い投資信託を選択するのではなく、バランス型の投資信託や債券の組み入れ比率が高い投資信託を選択することも選択肢のひとつです。
なお、金融商品の価格は、暴落したとしても元の価格に戻ったり、元の価格以上に上がったりする場合もあります。たとえ元本割れしたとしても、焦って売却しないことが重要です。
複数の銘柄を運用したい方向け!つみたて投資枠のポートフォリオ
ポートフォリオとは金融資産の組み合わせのことで、運用商品の具体的な組み合わせを指します。
ここからは、京都銀行で実際に取り扱っている投資信託を組み合わせたポートフォリオ例を紹介します。あくまでも例であるため、ご自身のリスク許容度や運用目的にあった銘柄を選択しましょう。
リスクを抑えて運用したい方向け
- つみたて8資産均等バランス 50%
- はじめてのNISA・日本株式インデックス(日経225) 25%
- はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500) 25%
リスクを抑えて運用したい場合は、複数の国や地域の株式や債券などの資産に分散投資できるバランス型投資信託をポートフォリオに組み入れることで、全体のリスクを下げつつリターンを狙います。
リターンを狙って運用したい方向け
- はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) 60%
- はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500) 20%
- ひふみプラス 20%
リターンを狙って複数銘柄を積極運用したい場合は、今後の成長が期待できる外国株式への投資比率を高める他、より高いリターンを期待できるアクティブファンドへの投資も選択肢に入れるとよいでしょう。
似た銘柄を複数保有しているときの対処法
すでにNISAを運用しており、似た特徴を持つ銘柄を複数持っている場合は、リスク分散にならず安定的な運用を目指せない可能性があります。
そのまま運用を続けても問題はありませんが、よりリスク分散効果を高めるには、どちらかの積立を停止したり、積立を停止した銘柄の代わりに別の銘柄を購入したりするのがよいでしょう。
つみたて投資枠で複数銘柄を運用する際の銘柄の選び方
つみたて投資枠で複数銘柄を運用する際は、次のポイントを押さえて銘柄を選びましょう。
- インデックスファンド・アクティブファンドを組み合わせる
- 投資先地域が異なる銘柄を組み合わせる
- 信託報酬が低い銘柄を選ぶ
インデックスファンド・アクティブファンドを組み合わせる
インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIXといった株価指数などの指標に連動した成果を目指して運用する投資信託を指します。指数との連動を目指すため比較的値動きが予測しやすく、信託報酬や手数料などのコストが低い傾向があるため、投資初心者の方にも向いている商品です。
一方アクティブファンドは、ベンチマークを上回る成果を目指して運用されます。そのため、ファンドマネージャーと呼ばれる運用者が銘柄を選定し、組入銘柄の入れ替えが積極的に行われます。管理や運用の手数料がかかるため、信託報酬などのコストは比較的高いことが特徴です。銘柄選定が難しく、インデックスファンドと比較すると中級者や上級者向けの商品といえます。

つみたて投資枠で複数銘柄を購入したい場合は、特徴の異なるインデックスファンドとアクティブファンドを組み合わせてみるのもよいでしょう。2つを組み合わせることで、インデックスファンドで指標に連動した成果を目指しつつ、アクティブファンドでさらなるリターンを狙える可能性があります。
投資先地域が異なる銘柄を組み合わせる
投資信託を構成する国や地域は、銘柄によって異なり、国内や海外、先進国、米国、欧州、新興国などさまざまです。
つみたて投資枠で複数銘柄を運用したい場合は、国内+米国や、米国+先進国など、国や地域が異なるように組み合わせるとよいでしょう。投資先の地域を分散することで、リスクを分散して安定した運用が期待できます。

信託報酬が低い銘柄を選ぶ
信託報酬とは、投資信託の運用・管理にかかる費用のことです。運用実績にかかわらず純資産総額に対して所定の金額が差し引かれるため、信託報酬が低いほど効率的に運用でき、資産を増やせる可能性があります。
つみたて投資枠で複数銘柄を運用したい場合は、銘柄の組み合わせや比率の調整により、保有銘柄全体にかかる信託報酬が高くならないようにしましょう。
つみたて投資枠対象銘柄の信託報酬は、全体的に低水準の銘柄に限られていますが、銘柄によって異なります。特にアクティブファンドは、インデックスファンドより高い傾向のため、購入前にあらかじめ確認することが大切です。信託報酬は、目論見書で確認できます。
京都銀行なら銘柄選びの相談もできる!
つみたて投資枠を始めるからには、ご自身にあった銘柄を運用したいと考える方も多いのではないでしょうか。特にリスク分散を考えて複数銘柄を選択したい場合は、組み合わせ方や組み合わせ比率などもあわせて検討することが大切です。
どの銘柄を購入すればいいのか、どの銘柄がご自身に合うか迷われる場合は、専門家に相談しながら決めることがおすすめです。
ご自身にあった銘柄は、年齢や収入、資産状況、目標などによって異なります。京都銀行では、厳選した11本のつみたて投資枠対象商品のなかから、ご自身に合うポートフォリオをNISAに詳しい専門家がご提案いたします。
平日お忙しい方は、無料の「土・日ご相談プラザ」「土曜ご相談プラザ」をご活用ください。

つみたて投資枠に関するよくある質問
Q.つみたて投資枠では複数の銘柄を保有することはできますか?
A.
つみたて投資枠では、複数の銘柄を保有できます。ご自身の目的に沿って銘柄数を決めるとよいでしょう。複数銘柄を運用する場合も1つの銘柄を運用する場合も、それぞれのメリットとデメリットを把握したうえで判断することが大切です。
Q.つみたて投資枠ではいくつの銘柄を運用するのがよいですか?
A.
つみたて投資枠で運用する銘柄数に上限はありません。複数銘柄を保有したい場合は、リスク許容度や目的にあわせて2~3銘柄を運用するとよいでしょう。
詳細は「つみたて投資枠で複数銘柄を運用する場合のメリット・デメリット」「つみたて投資枠でひとつの銘柄を運用する場合のメリット・デメリット」で解説しています。
Q.つみたて投資枠で複数の銘柄を運用する場合、どのような組み合わせがよいですか?
A.
インデックスファンド+アクティブファンド、国内株式+国内債券+外国株式、国内株式+米国株式+不動産といったように、異なる地域や資産、特徴の銘柄を組み合わせることで、リスクを分散でき、安定した運用が期待できます。銘柄を選ぶ際は、ご自身のリスク許容度や目的にあわせて検討することが大切です。
Q.つみたて投資枠で複数の銘柄を運用するデメリットはありますか?
A.
組み合わせ方によっては、メリットを感じにくい点がデメリットといえるでしょう。
たとえば、米国株式ファンドA+米国株式ファンドBなど同じ地域・資産を組み合わせると、どちらも似たような値動きをするため、基準価額が大きく下落した場合に資産が大きく減ってしまう可能性があります。
Q.初心者の場合、つみたて投資枠で複数銘柄を購入する場合どのようなものがよいですか?
A.
初心者の方の場合、まずはリスクを抑えながら運用できる銘柄を選択するとよいでしょう。
「リスクを抑えて運用したい方向け」では、複数の銘柄を運用したい方向けに、京都銀行で実際に取り扱っている投資信託を組み合わせたポートフォリオ例を紹介しています。投資信託の運用やNISAについて理解を深めてから、リターンを狙うためにリスクを許容するポートフォリオにリバランスすることも可能です。

ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)
金子賢司
アクティブファンドはファンドマネージャーが銘柄選定をするからといって、必ずインデックスファンドよりもよいパフォーマンスになるとは限りません。定期的に運用実績を検証することをおすすめします。
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)
金子賢司
20代、30代といった若い年代は長期運用が可能です。長期運用は投資のリスクを軽減しやすいというアドバンテージがあるため、積極的な運用がおすすめです。