美術研究支援制度:2019年度

京都銀行の「美術研究支援制度」は、京都市立芸術大学の学生が制作された作品を毎年継続的に購入することによって制作者の美術研究費用を支援するもので、優れた芸術の創造・振興に寄与することを目的として2001年に創設いたしました。
購入作品をホームページ上でご紹介することによって多くの方々にご鑑賞いただき、文化・芸術振興の一助になればと願っております。

  • 個々の作品についてのお問い合わせにはお答えいたしかねますのでご容赦願います。

購入作品のご紹介

2019年度購入作品(制作者の敬称略)

誰かの昔のポートレート

河野 沙也子 日本画 72cm×57cm

誰かが過ごした場所に今居ること、そして今も誰かが過ごした時間のように過去になること、それらが紡がれ未来へ続いていくことを京都銀行の「ながーい、おつきあい。」のキャッチコピーと重ね合わせ、描きました。

素材:膠、岩絵具、楮紙

morning

山部 杏奈 日本画 72.7cm×50.0cm

日常生活の中に存在する布を糸口に、形の無いものである空気や、ある時間、光を画面に定着させ表現することを目指しています。

素材:綿布、岩絵具

Overlap 1910−01

武田 紗也加 油画 113.5cm×88.5cm

人の生活はあらゆる点で習慣によって構成されています。絵画を描く行為も規則的な習慣の集積です。私は敢えてその行為を主観的に繰り返し、純粋な造形を通して習慣から生まれる唯一性を求めたいと考えています。

素材:スタイロフォーム、キヤンバス、油彩、木炭、鉛筆

The unknown murderer

周 妍 油画 65.2cm×53cm

絵画の視点から人と自我のある存在状態の関係に強い関心があります。この内容によって、個人的なイメージから取り出す要素をある程度抽象化して絵で表現しようと考えています。

素材:キャンバスに油彩

着物(重なり)

山田 真実 版画 160cm×90cm

本作品は、重なり合った着物をモチーフとしています。版木の端から順に彫りあとを並べ、動きの積み重ねで波打つような布を描きました。この彫りの手順がまるで編み物を形成するようにものをかたち作り、木版画独自の偶然性をはらんだ表現となることを試みた作品です。

素材:和紙、墨、水性木版

星のイメージ(像)を結ぶ

佐藤 雄飛 版画 100cm×71cm

「見る」という行為は何かしらのフィルター越しでしか成立しません。それは例えば先入観であったり脳の視覚的な処理であったりします。日常的なコミュニケーションや社会的な事柄まで、その様な些細な錯覚を孕んでいると感じています。

素材:アクリル板、インクジェット

踊り子

酒井 里紗 漆工 30cm×15cm×15cm

キヌガサタケをモチーフとした作品。連なって生えている様子がドレスを身に纏った少女達の集いのようで、短命で知られるキヌガサタケの一番美しく見える瞬問と重ねて表現した。ある瞬間を木彫で作品として永遠に残したいと考えた。

素材:アメリカンチェリー、ブラックウォールナット、ポプラ、漆

思い返せば

山本 葵 染織 80cm×40cm

自分の経験や記憶を辿って制作をしています。いつも何かを作ったり綺麗だと感じるたび、そこには私の生まれ育った環境や経験が必ず現れていました。これはそういった事に気づくきっかけとなった「水の色」について言及しています。

素材:テグス、絹糸、ポリロン染料