代位弁済とは?返済の流れと利用のリスク・ローンへの影響を解説

更新日:2025/01/10
代位弁済とは?返済の流れと利用のリスク・ローンへの影響を解説

住宅ローンやカードローンなどの返済が滞り続けると、保証会社などの第三者による代位弁済が行われることがあります。代位弁済が実行された後は、その第三者(代位弁済者)に対して返済義務が生じるため、借り入れがなくなるわけではありません。

代位弁済にはデメリットがあり、借主にとってリスクを伴うものです。代位弁済を避けるためには、事前に計画的な返済を心がけることが重要です。

この記事で分かること
  • 代位弁済が行われた場合、借主は第三者(代位弁済者)に返済していくことになる
  • 代位弁済は信用情報に影響を与え、将来的なローン契約が難しくなる可能性がある
  • 代位弁済後は保証会社から一括返済が求められることが多い
監修者からのコメント

代位弁済とは、本来であればお金を借りた人が返さなければならないお金を保証会社などの第三者が返済することをいいます。ただし、代位弁済を行うと信用情報に影響が出てしまい、将来的にローン契約が難しくなる可能性があります。また、代位弁済をした保証会社などから一括返済が求められることが多いです。

目次

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代位弁済とは:借主が返済すべきお金を第三者が代わりに返済すること

代位弁済の仕組み

借主(債務者)が返済すべきお金や債務を、第三者(代位弁済者)が代わりに支払うことを「代位弁済」といいます。たとえば、借主が返済できなくなった場合、保証会社や親族・保証人などが債権者に対して借主に代わって支払いを行うケースが該当します。保証会社とは、利用者が返済できなくなったときに、本人に代わって銀行に返済を行う会社のことです。

代位弁済が行われると、第三者(代位弁済者)が債権者の権利を引き継ぎ、借主に対して返済を請求できるようになります。代位弁済後、借主は第三者(代位弁済者)に対して、返済義務を負うことになります。

一般的に代位弁済は保証会社が行う

代位弁済は、保証会社が行うケースが一般的です。たとえば、住宅ローンや賃貸契約において、借主がローンや家賃の支払いができなくなった際、保証会社が借主に代わって支払いを行います。これにより、保証会社は金融機関(債権者)等の権利を引き継ぎ、後に借主に対して返済を求める立場となります。

保証会社による代位弁済は、住宅ローンやカードローン、賃貸借契約の保証人サービスなどでよく利用される仕組みです。

代位弁済と混同しやすい用語

代位弁済と似た言葉として、「第三者弁済」や「債務整理」があります。これらは代位弁済と異なるため、それぞれの意味を確認していきましょう。

第三者弁済

代位弁済と第三者弁済は、いずれも第三者が借主に代わって債務を支払う行為を指しますが、債権の移転に関する違いがあります。

代位弁済は、第三者が債権者に支払いを行うことで、債権が代位弁済をしてくれた第三者に移転し、第三者が借主に対して返済を求めることが可能となります。

一方、第三者弁済は、債権の移転を伴いません。つまり、第三者が支払いを行っても、その第三者が法的に借主に返済を請求できる権利を得るわけではありません。ただし、「債務者の承諾」など一定の条件に該当する場合は、その第三者が借主に返済を要求することはあります。

たとえば、家族や友人など、借主と直接の契約関係がない第三者が借主の借り入れを肩代わりする場合、第三者弁済に該当します。

債務整理

債務整理は、債務者が債務の返済に困難を感じた際、法的手続きを通じて債務を減額したり、返済計画を見直したりする方法です。債務整理を行うと、信用情報に影響が出る可能性が高いことが特徴です。

債務整理には、おもに次の3つの手法があります。

自己破産

自己破産は、借主が債務を全く返済できなくなった場合に、裁判所に破産を申し立て、すべての債務を法的に免除する手続きです。自己破産により債務は免除されますが、財産の差し押さえや信用情報への大きな影響があります。

個人再生

個人再生は、裁判所に申し立てを行い、債務の大幅な減額を目指す手続きです。自己破産と異なり、住宅などの財産を維持しながら返済を続けることが可能です。

任意整理

任意整理は、借入先との交渉を通じて利息の削減や長期分割払いを行い、返済負担を軽減する手続きです。裁判所を通さず、直接交渉する点が特徴です。

代位弁済に関する法律の規定

代位弁済はおもに日本の民法に規定されており、第三者が債務を代わりに弁済することで、債権者の権利が第三者に移転する仕組みです。代位弁済に関する規定は「民法第499条」「民法第500条」「民法第501条」でそれぞれ定められています。

債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。

出典:民法 第499条

民法第499条では、債務者以外の第三者が債務を弁済できると規定されています。第三者が債務者の代わりに支払うことで、債権者はその弁済を受け、債務者は弁済義務を果たしたとみなされます。

第467条の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用する。

出典:民法 第500条

代位弁済を行う際には、場合によっては債務者の同意が必要としています。

前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。

出典:民法 第501条

代位弁済を行った第三者は、弁済を行った範囲で債権者の権利を引き継ぎます。これにより、第三者は債務者に対して新たに債権を主張することができ、場合によっては債権者が持っていた担保権も引き継ぐことが可能です。

代位弁済の具体的な流れ

代位弁済が行われるまでの一般的な流れを見ていきましょう。

  1. 借主が返済できなくなる
  2. 第三者(保証会社など)に返済を請求する
  3. 債権者が代位弁済を受ける
  4. 第三者(代位弁済者)が債権を引き継ぐ
  5. 借主が第三者(代位弁済者)に返済する

1. 借主が返済できなくなる

まず、借主が何らかの理由で債務(借り入れ、ローンなど)を返済できなくなります。この段階で、借主は債権者に対して返済が遅延している状態です。たとえば、カードローンの返済が滞り、金融機関から督促が届くケースが該当します。

債権者が借主に返済を求めた後、返済が困難で数ヵ月にわたって遅延が続く場合、代位弁済の手続きが開始されます。

2. 第三者(保証会社など)に返済を請求する

代位弁済が実施されるまでに、債権者から借主に対して、複数回にわたって通知が行われます。通知を受けても借主が返済を行わなかった場合、金融機関は第三者(代位弁済者)に対して返済を請求します。

代位弁済者は保証会社や個人保証人、親族などであることが一般的です。借主が支払不能な状態をカバーするために、借主に代わって代位弁済者が返済を行います。たとえば、金融機関がカードローンの返済を保証会社に請求することがあります。

おおよそ3ヵ月〜半年の遅延が続くと代位弁済が行われることが多いです。なお、代位弁済が行われる前に「代位弁済予告通知」が届くこともあります。

3. 債権者が代位弁済を受ける

金融機関が第三者(代位弁済者)に返済を請求し、代位弁済者が借主に代わって金融機関への返済を行います。これにより、元々の債権者への債務は解消されます。

たとえば、保証会社が借主に代わってカードローンの支払いを行った場合、借主の遅延は解消されます。そして、借主には保証会社から「代位弁済通知」が送られてきます。

4.第三者(代位弁済者)が債権を引き継ぐ

代位弁済者が債権者に返済を行った後、代位弁済者は債権者の権利を引き継ぎます。つまり、債権者の立場が代位弁済者に移り、借主に対して返済を求めることができるようになります。借主は今後、代位弁済者に対して新たな返済義務を負うことになります。

たとえば、保証会社が代位弁済を行った場合、保証会社は借主に対して、代位弁済により支払った金額の返済を求めることができます。

5. 借主が第三者(代位弁済者)に返済する

最終的に、借主は代位弁済者に対して、代位弁済で支払われた分を返済しなければなりません。返済条件は代位弁済者と借主との間で決められますが、借主が再び返済を滞らせた場合、さらに法的手続きに発展する可能性もあります。

たとえば、保証会社からの督促を無視し続けた場合、裁判所への訴訟に至ることがあります。

リスクあり!代位弁済を行うデメリット

代位返済には次のようなデメリットがあります。

一括返済が求められる

代位弁済を行った保証会社は、借主に対してその代位弁済額を請求します。その際、一括返済が求められることが多いです。保証会社は借主の返済能力に不安を抱いているため、リスクを回避するために一括での返済を要求すると考えられます。

ただ、返済が滞っている借主にとっては、まとめて数十万、数百万円を一括で支払うのは困難なことが多いです。分割払いに応じてもらえる可能性もあるため、支払いが難しい場合は保証会社に相談してみましょう。

信用情報に悪影響が及ぶ

代位弁済が行われることは、借主が自力で債務を返済できなかったことを示します。この事実は、信用情報機関に記録される可能性があります。

信用情報は、クレジットやローンの契約や利用状況などに関する情報のことで、客観的な取引事実を記録した個人情報です。多くの場合、代位弁済が行われた事実は信用情報に記録されます。これにより、将来的にローンやクレジットカードの審査で不利になる可能性が高くなります。

遅延損害金によって返済額の負担が増える

遅延損害金とは、返済が遅れた際に発生するお金です。借主が返済を遅延し、保証会社や第三者が代位弁済を行う場合、元の債務に加えて遅延損害金が発生するため、借主が支払うべき金額がさらに増加します。

この遅延損害金も含めて代位弁済者が支払うことになるため、後に代位弁済者が借主に請求する金額が大きくなります。遅延が長期化すればするほど、遅延損害金が増え、借主の返済負担も重くなるでしょう。

保証人・連帯保証人も督促を受ける

保証人が付いている借り入れの場合、借主が支払いを滞らせた際、債権者は保証人にも返済を求めることができます。保証人は、借主が返済できない場合に代わりに返済する義務を負っているため、借主が返済を続けない限り、保証人にも負担がかかります。

保証会社からの一括返済を放置し続けているとどうなる?

代位弁済後、まずは保証会社から借主に対して督促が送られます。もし借主が督促に対応しない場合、法的措置が検討される可能性があります。

この段階では、支払いの猶予や分割払いが提案されることもありますが、それを無視し続ければ、保証会社は法的手続きに進むことになるでしょう。

法的手続きが進むと、裁判所を通じて借主の財産差し押さえが命じられる可能性があります。これにより、銀行口座の凍結や給与の一部差し押さえ、さらには不動産などの差し押さえが実施されることもあります。

これらを踏まえると、代位弁済後の返済を放置することは、大きな経済的リスクを伴う行為といえるでしょう。

代位弁済は借主にとって危険!事前に計画的に返済しよう

代位弁済は借主にとってリスクを伴うため、事前の対策が不可欠です。計画的な返済や収支の管理、早期の相談、生活費の見直しを通じて、代位弁済のリスクを回避することが大切です。

具体的な対策としては、まず毎月の収入と支出を詳細に分析し、必要な支出を把握することから始めましょう。そのうえで、返済を生活費の中で優先させ、無理のない返済額を設定することが重要です。

また、予期せぬ支出に備えて、生活費の数ヵ月分を貯蓄しておくことを心がけましょう。

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代位弁済に関するよくある質問

Q.代位弁済とは?わかりやすく解説してください。

A.

代位弁済とは、借主が返済を滞った際に、保証会社などの第三者が代わりに債権者に対して債務の金額を支払うことを指します。たとえば、借主が住宅ローンやカードローンの返済ができなくなった場合、保証会社や親族などの第三者がその債務を肩代わりして支払います。

Q.代位弁済をするとどうなりますか?

A.

代位弁済後、代位弁済者は新たな債権者として借主に対して返済を求める立場になります。また、返済が遅れた分の遅延損害金が発生し、信用情報にも影響が出るため、将来的に借り入れが困難になる可能性があります。

Q.代位弁済をすると、ローンを組めなくなりますか?

A.

代位弁済は信用情報に影響を与え、将来的に新たなローンを組む際に不利になる可能性があります。

Q.代位弁済と債務整理の違いを教えてください。

A.

代位弁済は保証会社などの第三者が借主に代わって返済を行うことを指し、債務整理は借主自身が債務を減額したり、分割で整理したりするための手続きです。代位弁済は他者が介入するのに対し、債務整理は借主自身の意思で行う解決策です。