京は遠うても十八里
古来より京都では、京の町衆のご馳走といえば、”鯖寿し”といわれるほど、祭りの日やハレの日の食卓には鯖寿しが飾られておりました。現在でも京の三大祭(葵祭・祇園祭・時代祭)などの日には、鯖寿しを食べる風習がございます。江戸時代、若狭から京都までの道のりは、最短でも18里(72㎞)、その道のりを一昼夜かけて若狭の食材を京都まで運んでおりました。防腐剤も冷蔵技術もなかった当時は、鯖を京都まで運ぶ際に内臓を取り出し、腹に塩を抱かせていました。そのため、塩鯖はとても塩辛く保存食としての限られた食材でしかありませんでした。そこで京の町衆が鯖の旨味を引き出そうと、考えついたのが「京鯖寿し」です。歴史と風土に育まれた「京鯖寿し」は京を代表するハレの食として今なお、親しまれる食文化です。