主要記事

SPECIAL INTERVIEW

観光や金融資産など
日本の国内資源を掘り起こせ

2024年11月

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フランスをはじめとする欧米の先進国では、グローバル化の進展により地方経済が衰退したため、保護主義的な動きが活発化し、政治が不安定化している。日本にとってもこれらの動きは決して他山の石ではない。
日本でも進んでいる地方経済の空洞化に、どのようにして歯止めをかければよいのか。国内情勢だけを見ていては気づかない点などについて、日仏会館理事長でエコノミストの中島厚志氏にうかがった。

「わくわく」する、自社「ならでは」の志の実現を目指す

2024年8月

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京都先端科学大学ビジネススクールの名和高司教授は、「パーパス経営」の第一人者であり、『パーパス経営』、『CSV経営戦略』、『経営改革大全』などの著書を上梓されているほか、実践的な授業により経営人材を育成されている。また、シニアアドバイザーや社外取締役として多数の企業経営にも参画されている。
そこで、「パーパス(志本主義)経営」とは何か、また、変化の激しい経営環境のなかで、「志本主義経営」はどのような効果をもたらすのか、そしてその実践方法や人材育成についての考え方などについて伺った。

変化の激しい時代だからこそ、一人一人の
豊かな人生の実現という原点に立ち戻る

2024年5月

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公益社団法人日本証券アナリスト協会専務理事の神津多可思氏は、日本銀行政策委員会室審議役、同金融機構局審議役、株式会社リコー執行役員・リコー経済社会研究所所長などを歴任され、マクロ金融経済、金融機関経営、企業の人材教育や情報開示にも精通されている。そこで、名目GDPが世界4位に下落した日本経済の認識、SDGsなどの世界的な潮流と日本企業が考えるべきこと、人的資本経営の意義、AIの影響、地方創生のあり方、日本証券アナリスト協会の今後の課題、「資産運用立国」の意味、金融機関に期待される役割など、さまざまな観点について伺った。

伝統産業の美と知が先進産業の
新技術を培い、新たな文化を紡ぐ

2024年2月

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創設から100年あまり。ものづくり技術の向上にあくなき挑戦を続ける京都の地域企業を支援し続けてきた京都市産業技術研究所。協働作業から生み出された新技術が生活の中にゆっくりと浸透し、やがて長い年月を経て伝統技術に成熟するとき、新たな文化が京都に誕生する。
京都の「ものづくり文化」と「産業技術」を基盤から支える京都市産業技術研究所理事長西本清一氏にお話を伺った。

真摯に社会の持続性に向き合うと、
自立した分散型社会に進むしかない

2023年11月

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養老先生は、『バカの壁』をはじめ数多くの本を出版され、意識の世界に閉じこもる現代人の考え方を鋭く指摘し、意識だけの世界からの離脱などを説かれてきた。たとえば、以前から「現代版の参勤交代」という2拠点生活を推奨されていたが、新型コロナウイルスのパンデミックを通じて現実のものとなってきている。
その養老先生は、パンデミックのほか、ロシアのウクライナへの軍事侵攻、脱炭素社会の実現、AIの発展など、この数年の激動の世界をどのように見ておられるのか。また、さまざまな社会課題、特に南海トラフ地震や自然環境問題の本質と対応方法などについて伺った。

次世代の社会・文化・経済を担うキーワード
「メタバース」とは何か

2023年8月

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スマートフォンやVR(Virtual Reality)ゴーグル、パソコンなどを使って、インターネット上の3D(3次元)のバーチャル空間でアバターと呼ばれる自分の分身で行動でき、性別、年齢、人種を超えて他の参加者と交流できる場所。そんなメタバース空間を使ったコンサートやイベントが、若者を中心に人気を集めている。メタバースを企業活動や文化活動などに活用しようと産官学も動きはじめた。
メタバースとは何か。日本最大級のメタバースプラットフォームを運営するクラスター社のCEO加藤直人氏にメタバースの意味とその可能性について、うかがった。

自由に楽しく元気に生きることこそ
最高の人口減少対策

2023年5月

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現在、日本は少子高齢化が進み、低成長、物価高騰、格差の拡大、財政問題、地政学的リスクの高まり、自然災害の多発など、課題が山積みされている。日本は今後、どのような国づくりを目指せばいいのか。身近な自治体はどのように地域づくりに取り組めばよいのか。今後の京都に期待することは何か。
前京都府知事で、現在、令和国民会議(令和臨調)のメンバーとして国土構想を議論する山田啓二氏にうかがった。

日本の繰り返す歴史から学ぶ。
今は「教育力」を再生し、国を豊かにする時

2023年2月

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坂本龍馬、織田信長といった歴史的な人物に関するこれまでの常識が、最近の研究により変わるかもしれない。こうした「歴史は変化する」という事実を前に、私たちは歴史から何を学べばよいのか。そして、現在のパンデミック、戦争、SDGsといった世界規模の大きな変革期において、活かせることは何か、また、価値観が大きく変化する若者にどのように向き合えばよいのか。歴史研究家で、多数の著書を執筆され、教育者としてもご活躍されている、河合敦氏に話を伺った。

KPA創立50周年記念インタビュー
祖父 松下幸之助氏の思想・遺志を継承し、「繁栄によって平和と幸福」な社会の実現を目指す

2022年11月

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経営の神様 松下幸之助氏が亡くなって33年超。京都駅前にあるPHP研究所京都本部の社屋内にある公益財団法人松下社会科学振興財団の松下資料館には今なおその経営哲学・言葉に直に触れようと、多くの研究者・参観者が訪れている。松下幸之助氏の経営の神髄とは何か、戦後、PHP研究所を創設した思い、遺志とは何か、現在、どのように引き継がれているのか。幸之助氏の思想・遺志を継承・発展させるPHP研究所代表取締役会長で、孫の松下正幸氏にお話を伺った。

XRとはどんな技術か
その活用が社会・ビジネスに大きな変革をもたらす

2022年8月

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XR(CrossReality/クロスリアリティ)やメタバースという言葉を見聞きする機会が増えた。現実世界と仮想世界を融合し、新たな体験をつくり出すXRがエンターテイメント業界にとどまらず、EC、医療、建設、教育など様々な業界から注目されている。XRとはどんな技術なのか。そして社会をどう変えるのか。XRの研究をリードする立命館大学情報理工学部の木村朝子教授にうかがった。

今こそ中小企業の強みを活かす

2022年5月

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SDGs、脱炭素社会の実現、社会課題解決型経営といった世界的な大きなうねりが押し寄せてきている。一方、日本では、随分以前から資源リサイクルや環境保全など、持続的な社会の実現に積極的に取り組んできた。私達は、最近の世界的な潮流をどのように理解し、向き合えば良いのか。
経営学の先端理論に精通し、「世界標準の経営理論」を執筆され、各種講演などでも活躍されている入山教授に、日本企業(特に中小企業)の現在地と今後の取り組み方などについて伺った。

近い将来起きる地震・火山災害への備えを

2022年2月

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日本列島は東日本大震災を皮切りに「大地変動の時代」に入った。近い将来に起きる首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火に対し、国家・社会、一般市民はどう備えればいいのか。
Xデーに向け、学生・市民に科学を、どのようにわかりやすく、かつおもしろく伝えるのか。科学啓発に熱心な「科学の伝道師」として活躍し、また京都大学の講義では教養科目ナンバーワンの人気を誇る京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授、鎌田浩毅氏にうかがった。

環境マネジメントはトータルマネジメントのゲートウェイ

2021年11月全ページ表示(PDF:1905KB)

気候変動、地球温暖化問題が深刻化するなか、脱炭素社会の実現が世界的な課題となっている。日本も昨年10月、2050年までにカーボンニュートラル・CO2排出量実質ゼロの達成を宣言。官民をあげて本格的なCO2排出量削減への取り組みが始まった。日本の温暖化対策の現状はどうなっているのか。今後、産業界、特に中小企業にはどのような影響が及ぶのか。京都の中小規模事業者を対象にした環境マネジメントの審査登録機関・特定非営利活動法人KES環境機構の長畑和典専務理事にうかがった。

びびることなく、明るくテンポ良くやってみる

2021年8月全ページ表示(PDF:2089KB)

身体論や教育論がご専門で、『身体感覚を取り戻す』や『声に出して読みたい日本語』など多数の著書を出版され、TVなどでも活躍されている明治大学齋藤孝教授に、膨大なアウトプットの秘訣はどこにあるのか。また、コロナ禍を経験してきた日本の現状のほか、デジタル化、SDGsや脱炭素社会の実現など新たな課題が山積するなか、「身体文化」・「精神文化」や「心」の視点から、今後どのように取り組めば良いか伺ってみた。

SDGs「行動の10年」につながる具体的な取り組みを検討するために

2021年5月全ページ表示(PDF:1564KB)

2015年にSDGsが採択されてから6年。国連は2020年から2030年までを「行動の10年」と銘打ち、企業に対してSDGsに関する具体的な取り組みをいっそう加速させることを求めている。SDGsに具体的に取り組むために、SDGsの基本的な内容を(株)日本総合研究所スペシャリストの渡辺珠子氏にうかがった。

新島襄の志を現代へ。人を変え、世界を変える。

2021年2月全ページ表示(PDF:2759KB)

昨年4月、2025年に創立150周年を迎える同志社大学の第代学長に植木朝子氏が就任した。就任と同時にコロナ禍への対応を迫られる船出となり、またコロナ後に向けて社会的課題が山積するなか、ダイバーシティキャンパスの実現、教育研究のグローバル化、産学連携推進などに向けた「同志社大学ビジョン2025」の取り組み、目指すべき大学像などについてのお考えを植木学長にうかがった。

発展途上の量子コンピュータへのオープンなアプローチが、
イノベーションを促進する

2020年11月全ページ表示(PDF:1741KB)

昨年10月、グーグルが小さな量子コンピュータを使って世界最速のスパコンを凌ぐ速さで計算をしたというニュースが世界を驚かせた。量子コンピュータというものはどういうもので、今後のビジネスや我々の生活にどのような影響を与えるのだろうか。
1999年に世界で初めて量子コンピュータの基本要素となる電子回路(量子ビット回路)の作製に成功した中村教授に、量子コンピュータの現在地と展望のほか、今後我々はどのように接していけばよいか、などについてうかがった。

ニューノーマル・リスク時代に備え、企業は事業継承計画の再点検を

2020年8月全ページ表示(PDF:3120KB)

新型コロナウイルスが世界に蔓延し、あらためて自然災害の脅威を見せつけた。日本ではここ30年に限っても、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災に代表されるさまざまな自然災害に見舞われてきた。
世界中で発生する災害の現地調査を実施し、多くの企業や自治体の防災アドバイザーを歴任する防災システム研究所の山村武彦所長に、災害時に備えた企業の事業継続の取り組み、実践的な防災・危機管理のあり方についてうかがった。

イノベーション創発拠点を目指して京都から新ビジネス・新産業の創出に貢献する

2020年5月全ページ表示(PDF:2293KB)

JR京都駅から2駅「JR丹波口駅」にほど近い「京都リサーチパーク」。ここが大阪ガス京都工場の跡地開発プロジェクトから設立された、国内初の民間運営によるリサーチパークであり、Daigasグループの1社であることをご存じない方もおられるのではないでしょうか。
昨年、地区開設30周年を迎えられた京都リサーチパーク株式会社のこれまでの事業展開、および今後の展望、戦略について、小川信也社長にうかがった。

オープンイノベーションで日本再生を

2020年1月全ページ表示(PDF:1843KB)

知財は、米中通商協議において重要なテーマのひとつになるなど、世界的に関心が高まってきている。日本では政府が2002年に「知財立国」を打ち出し、知財の創出・保護・活用に取り組んできたが、その成果や課題はどこにあるのか。
日本では数少ない技術法務専門の弁護士であり、小説「下町ロケット」に登場する知財弁護士の実在モデルにもなった鮫島正洋氏に、知財に関する現状認識のほか、経営戦略への組み込み方や、日本の産業界の課題と今後の進むべき方向をうかがった。

自社の事業、技術を活かし、SDGsへの取り組みを

2019年11月全ページ表示(PDF:2457KB)

2030年までに世界の経済・社会・環境のバランスを整え、あらゆる貧困に終止符を打とうというSDGs(エスディージーズ)。最近ではSDGs経営やESG投資など、企業やビジネスパーソンの役割についても、問われている。SDGsが生まれた背景、考え方、求められる活動などについて、国連広報センター所長の根本かおる氏にうかがった。

宝ホールディングスの事業ポートフォリオ戦略とは
−チャレンジ精神が支える伝統と先端技術

2019年8月全ページ表示(PDF:2130KB)

日本伝統の酒造りの技術と最先端バイオ技術の革新を通じて、食生活や生活スタイル、ライフサイエンスにおける新たな可能性を探求してきた宝ホールディングス。環境変化に強いバランスのとれた事業構造を確立し、国内外市場で新しい価値を創造し続ける宝グループの成長戦略について、木村睦社長にうかがった。

脳の強化法「脳トレ」が、多くの認知症患者を救っている

2019年5月全ページ表示(PDF:1713KB)

脳の機能を計測しマッピング(地図化)する「脳マッピング研究」によって生まれた「脳トレ」が認知症患者に大きな効果をあげている。また、脳の働きを計測する簡単な装置が開発され、さまざまな分野での活用が期待される状況にある。他方、スマホの長時間使用が子どもの脳の発達に深刻な弊害があることが判明した。日本の脳マッピング研究のパイオニアである東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太氏にうかがった。

100年後に向かって、新しい京都づくりにとりかかる

2019年1月全ページ表示(PDF:2242KB)

平成年4月、前復興庁事務次官で、京都市出身の西脇隆俊氏が京都府知事に就任された。「地方創生の時代」がいわれ、地方の自主性、自立性が強く求められている今日、京都の抱える課題とは何か。それに対してどのような施策を考えておられるのか。西脇新知事に、土井伸宏・京都銀行頭取が「将来に希望が持てる新しい京都づくり」に向けての展望、抱負についておうかがいした。

NISSHAの持続的成長の源泉とは
−経営者は変化することにコミットできるか

2018年11月全ページ表示(PDF:2392KB)

2019年に創業90周年を迎えるNISSHA。同社が手がける製品はスマートフォンやタブレット向けのフィルムタッチセンサー、自動車の内装や家電向けの加飾フィルムや加飾成形品、食料品や飲料品向けの高機能パッケージ資材、さらには心疾患向けの医療機器など実に多岐にわたる。売上高の80%は海外向けという。
事業領域の拡大とともにグローバル市場で成長を続けるNISSHA。そのユニークな成長の軌跡と今後の経営戦略について代表取締役社長兼最高経営責任者の鈴木順也氏にうかがった。

欧州、とくにフランスから見た現在の世界と日本

2018年8月全ページ表示(PDF:2932KB)

世界情勢が大きく変動し、歴史的な転換点を迎えているといわれる。ところが、日本ではそうした国際政治・経済の情報源が、英語圏の米国やイギリスに偏っているように見受けられる。そこで、NHKで欧州総局長、報道局長を歴任し、フランスに長く滞在されていた磯村尚徳氏から、欧州文明、特にフランスのものの見方、日本文化との共通性などについてお聞きした。

“顧客創造”を入口に成長の仕組みづくりを目指せ

2018年5月全ページ表示(PDF:2258KB)

低成長から抜け出せない日本市場で、企業が成長していくには何が必要なのか。良いものを安く作れば売れた時代が終わり、企業は顧客ニーズをどのようにとらえ、仕組みをつくればいいのか。
日本マーケティング協会理事長で、日本のマーケティングの第一人者である嶋口充輝氏にマーケティングの発想から、現状を突破するためのヒントをうかがった。

グループの成長と質の向上を目指して

2018年1月全ページ表示(PDF:4043KB)

3年半前、持続的成長を目指しホールディングス化を進めたSCREENグループが、長期ビジョンのもと着々と成果をあげている。
コア技術を応用展開し、印刷、エレクトロニクスからエネルギー、ライフサイエンス分野にも事業を拡充するグローバル企業の今後の戦略と展望を最高経営責任者(CEO)の垣内永次氏にうかがった。

激動下にある内外経済の諸課題

2017年11月全ページ表示(PDF:3384KB)

リーマンショックから9年、世界経済は回復の方向にあるが、トランプ大統領の登場、英国のEU離脱、大量の難民問題など、世界は激動の最さ中なかにある。
これから世界はどこに向かおうとしているのか、わが国の課題はどこにあり何をどう変えていかなくてはならないのか。元日本銀行総裁で、現在はキヤノングローバル戦略研究所理事長の福井俊彦氏にうかがった

匠の技を科学分析し、新たなモノづくりに挑む

2017年8月全ページ表示(PDF:3379KB)

日本各地、とくに古都・京都には世界に誇れる「匠の技」といわれる伝統工芸が数多く存在する。しかし、高度成長期の後半以降、伝統産業の規模は出荷額、事業者数とも縮小し続けている。さらに、伝統工芸の匠の技を習得するためには長い期間を要することから、後継者が不足し、匠の技の継承が危ぶまれているのが現状だ。
伝統産業を再生し、その技術を未来に引き継いでいくには何が必要か。京都工芸繊維大学の 濱田泰以教授にうかがった。

百年で培った技術を新結合し「第三の創業」を歩む

2017年5月全ページ表示(PDF:4336KB)

今年で創業108年を迎える第一工業製薬株式会社は、長い歴史の中で培ったコア技術を大切に、舵を切り替えながら工業用薬剤メーカーとして持続的に発展・成長をとげてこられました。そして、同社は一昨年の新5カ年計画のスタートと共に、「第三の創業」の幕を開かれました。
その戦略と抱負について、代表取締役会長兼社長坂本隆司氏にうかがいました。

「地方創生」、「女性活躍社会」の実現を目指して

2017年1月全ページ表示(PDF:3379KB)

わが国は人口減少、地方消滅、非正規雇用の増大、賃金の伸び悩み、女性や子どもの貧困、介護離職などの難しい問題について解決を迫られている。
こうした問題に対し、国、自治体、地域住民はどのように取り組んでいけばよいのであろうか。中央省庁の第一線で「地方創生」、「男女共同参画」等の重要施策に最近まで携わってきた、日本生命保険相互会社顧問、元京都府副知事の佐村知子さんに話をうかがった。

ICTを活用しコミュニケーションの壁を超える

2016年11月全ページ表示(PDF:3788KB)

情報通信技術が急速に進歩するなか、インターネットなどのサイバー空間と私たちが生活している現実社会を結びつけ、様々な社会的課題を解決するための技術が求められている。しかし、高速・大容量通信ネットワーク上の大量のデータから必要な情報を選別し、活用するには、人との親和性の高いコミュニケーション技術が必要だ。
災害時や異文化間などで立ちふさがるコミュニケーションの壁を超える新たな技術開発について、けいはんな学研都市の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)ユニバーサルコミュニケーション研究所の木俵豊所長にうかがった。

120年の歴史から未来を紡ぐ

2016年8月全ページ表示(PDF:4096KB)

創業から120年、グンゼグループは生糸事業からアパレル事業に転換し、更に時代のニーズに合わせて「明日をもっと、ここちよく」を旗印として、機能資材やメディカル分野等に積極的に事業展開を図っておられます。
そこでグンゼ株式会社代表取締役社長児玉和氏に創業の精神が社名の由来にもつながる同社不変の経営理念、そして、「明日をもっと、ここちよく」に込められた顧客満足と企業価値向上についてうかがった。

超微細な泡(ファインバブル)が暮らしと企業を変える

2016年5月全ページ表示(PDF:3379KB)

1メートルの1億分の1というナノレベルの超微細な「泡」をご存じだろうか。カキの養殖では早期に生育する、魚や野菜が大きく育つ、食品や生魚が傷まない、洗剤を使わずに農作物、機械器具、壁、高速道路等を洗浄できる、といったさまざまな効果があり、活用が始まっている。医療の分野でも注目される研究が進んでいる。
将来的にはエネルギー分野でも画期的な高エネルギー物質ができる可能性があり、そうなると私たちの暮らしや産業界は大きく変わるかもしれない。この分野は日本が現状では世界をリードしているが、海外からは熱い視線が寄せられている。第二のガラパゴス化に陥らないためには世界的な視点に立った日本のリードが求められている。
そこで今回は、ファインバブル研究のパイオニアとして、産業界と共同で研究・開発を行っている慶應義塾大学の寺坂宏一教授にファインバブルの可能性や課題等についてうかがった。

未来産業を生み出すイノベーション戦略

2016年1月全ページ表示(PDF:4507KB)

日本のイノベーションを育てた企業の中央研究所が姿を消していくなかで、日本の新たなイノベーターを育て、未来産業を生み出すにはどんな仕組みや場が必要なのか。
客員フェローとして訪れたケンブリッジ大学における"ケンブリッジ現象"の秘密を解明し、さらに京都大学大学院総合生存学館・思修館で知の越境を促すメソッドを探求する山口栄一教授に、日本のこれからのイノベーション戦略についてうかがった。

「日日に新たに」、時代の変化を読み取り市場を開拓

2015年11月全ページ表示(PDF:4100KB)

電力システムの大変革、一次エネルギーが化石燃料から再生可能エネルギーへと転換するなか、時代の変化を見極め、電力機器を中心に四つのセグメントで成長を促す日新電機。
まもなく創立100年を迎える同社の小畑英明社長に、継承されるベンチャー精神と技術力、さらに今後の展望をうかがった。

イノベーションが日本を救う

2015年8月全ページ表示(PDF:2126KB)

輸出産業を中心に企業業績が 上向き、株価が上昇を続けるなど日本経済の一部には明るい兆しがみられる。しかし、成熟した日本経済や競争激化が進むグローバル経済の中で企業が優位性を高め、それを維持していくことは容易なことではない。
そこで、イノベーションこそが経済活性化のカギであり、そのためには提供する商品やサービスの「価値」を本当の意味で高めなければならないと説く一橋大学イノベーション研究センターセンター長の延岡健太郎教授に話をうかがった。

再生医療の事業化に挑む

2015年5月全ページ表示(PDF:3441KB)

最近、再生医療がこれからの成長分野として産業界の期待を集めている。特に、iPS細胞に代表される細胞移植に関心が集まっているが、再生医療とはどういうものか再生医療の全貌には理解が進んでいないのではないだろうか。再生医療への理解が進めば幅広い企業で自社の技術との接点が見いだせるかもしれない。
そこで、そもそも再生医療とは何か。そして、ものづくり企業は再生医療にどうかかわれるのか。生体組織工学の発想・技術から再生医療・治療に取り組み、すでに多くの成果をあげておられる京都大学再生医科学研究所の田畑泰彦教授にお聞きした。

新たな成長を目指して、独自性を追求する

2015年1月全ページ表示(PDF:4358KB)

人口構造の高齢化が進み医療に対するニーズが高度化するなかで、医薬品業界では患者ニーズに対応した研究・開発、国際競争力の強化、そして、こうした戦略を推進するための人材の確保・育成が課題となっている。
これまで独創的な医薬品を意欲的に市場に投入してきた日本新薬では、こうした課題を見据え、新たな成長を目指す第五次5カ年中期経営計画がスタートした。同社の前川重信社長に当計画をふまえた経営戦略をうかがった。

"体格"で劣っていても"体質"で勝てばいい

2014年11月全ページ表示(PDF:2863KB)

日本企業の強さを支えてきた 現場力が衰え、競争力の柱を失っ た企業が少なくない。失われた20年の間に、企業が生き残りを図るため現場に大きな犠牲を強いてきたからだ。
これから日本企業がグローバル市場で活路を見出すためには、現場力をどう回復すればいいのか。自ら現場に赴き、「現場センサー」を駆使したコンサルティングに定評のある遠藤功教授にお聞きした。

近づく"人とロボットの共生社会"

2014年8月全ページ表示(PDF:1912KB)

大規模災害や少子高齢化を見据え、災害対策ロボットや介護ロボット、掃除ロボットなど幅広い分野でロボットの開発が加速している。一方、情報通信の面では、情報端末だけでなく家電や自動車など多くのモノがインターネットにつながり、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)といわれる時代に入ってきた。
こうしたなか、けいはんな学研都市のATR(株式会社国際電気通信基礎技術研究所)では、ロボットをネットワークで結び、単体のロボットではできないサービスを実現する「ネットワークロボット」の研究開発が進んでいる。そこで、ネットワークロボットとは何か、社会をどのように変えていくのか。ATR社会メディア総合研究所所長の萩田紀博先生にお聞きした。

製造業から"創造業"へ

2014年5月全ページ表示(PDF:2475KB)

成長著しい新興国との競争が激化する一方、エネルギー問題の深刻化や人口の高齢化など、経営環境は変化の度を強めている。こうしたなか、企業では自社の強みと特徴を活かし、新たな成長の機会を見出すことが課題となっている。
グローバル競争のなかで「キラリと光る存在になる」には何をなすべきか。定評のあるコンデンサ、回路技術を核に、エネルギーや環境、医療分野などの新規事業に挑む、ニチコン株式会社のCEO武田一平会長に中長期をにらんだ成長戦略をお聞きした。

高い塔を建てなければ、新たな水平線は見えてこない

2014年1月全ページ表示(PDF:2605KB)

2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」はエンジンの故障、地球との通信不能など数々のトラブルを乗り越え、7年、60億キロメートルにおよぶ航海を終え、2010年6月、大気圏に再突入した。満身創痍のなか、見事にミッションをなしとげた「はやぶさ」の姿に日本中が喝采をあげ、多くの人が勇気をもらった。
構想から25年、「はやぶさ」プロジェクトのマネージャーを務めた川口淳一郎氏に、宇宙開発にたずさわる視点から、今後の日本の立ち位置、目指すべき姿をうかがった。

伝統産業から文化ビジネスへ

2013年11月全ページ表示(PDF:3677KB)

マンガやアニメ、ゲームなど日本のポップカルチャーはクールジャパンと呼ばれ、グローバル市場での存在感を増している。一方、その源流である伝統産業は高い技術と意匠をもちながら、その力を発揮できていないのではないだろうか。
京都の伝統産業をどうグローバルな産業に育てるのか、また、そのための課題は何か。2007年に「伝統産業グローバル革新塾」を立ち上げ、伝統産業の人材育成と事業化を進めてこられた同志社大学ビジネススクールの村山裕三教授にお聞きした。

急成長するアジアの自動車市場と日本企業の課題

2013年8月全ページ表示(PDF:3326KB)

アジアの経済発展を受けて、日本企業のアジアへの進出が加速している。なかでも自動車メーカー各社は急成長するアジアの自動車市場への浸透を図る一方、この地域を世界市場へ向けた生産拠点として位置づけている。
京都大学東アジア経済研究センターのセンター長を務める塩地洋教授にアジア自動車市場の動向、現地での日本企業の課題等をお聞きした。

オムロンは、何のために、何をやろうとしているのか

2013年5月全ページ表示(PDF:3154KB)

リーマンショック後の世界経済の停滞や新興国の台頭、日中の経済摩擦など経営環境が激変するなか、日本企業は新たな企業ビジョンを模索している。
こうしたなか、創業80周年を迎えるグローバル企業オムロンはいま「何のために、何をやろうとしているのか」。作田久男会長に、企業とビジネスマンに求められるものは何かお聞きした。

ECONOMIC REPORT

外国からの労働力に依存する日本経済

2024年11月

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日本の労働市場は地殻変動の只中にある。団塊世代が後期高齢者となり、今後、高齢層からの労働力増加は期待しにくい。一方、急激に進む人手不足の緩和に寄与しているのが、国外からの人口流入だ。在留外国人の数は、2022年からの2年間で約65万人増加した。流入は全国津々浦々に及び、国内、国外との間の人口移動を合算すると、全国28都道府県が流入超過となっている(23年)。
外国人の流入なしには、実質成長率の維持は難しくなる。一方、日本政府は「移民政策はとらない」との基本方針を堅持している。この矛盾を在留資格の技術的な制度変更で対応している日本だが、いまもって矛盾をかかえたままの状態であることに変わりはない。

金融政策の正常化について

2024年8月

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日本銀行は3月19日にマイナス金利等で代表される金融政策としては異例な政策(非伝統的な金融政策)の多くを止めました。植田総裁はこの際、「ふつうの金融政策」に戻ると述べ注目されています。日本銀行は99年2月に金利をゼロとするゼロ金利政策を開始し異例な政策を始めました。3月の政策変更は、今後金利をプラスの領域に上げていく金利のある世界への回帰への第一歩であり、日本は約四半世紀ぶりに金融政策の正常化に動いたといえます。
本稿ではこれを機会にあらためて過去四半世紀の異例な金融政策を振り返り、筆者なりの評価を与えます。これまでの政策が必ずしも十分な成果をあげたわけではないことなどや、「正常化」についての見逃されがちな論点も指摘していきたいと思います。

世界の分断はなぜ生まれ、どこへ向かうのか

2024年5月

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2022年3月のロシアによるウクライナへの侵攻に続き、23年秋にはハマスによるイスラエル奇襲とイスラエルによるガザ地区への激しい攻撃が起きた。中国では習近平国家主席、ロシアではプーチン大統領の一強体制がそれぞれ確立し、世界各地でナショナリズムの動きが強まっている。過去30年近くにわたる経済のグローバリゼーションの流れは、ナショナリズムの高まりとともに揺らいでいる。
今年秋には米国の大統領選挙が控える。もしトランプ前大統領が勝利すれば、混迷はさらに深まるだろう。世界はなぜ「分断」し、どこへ向かうのか。日本として何を心がけていくべきなのだろうか。

金融法の経済学

2024年2月

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金融業では、金融機関自体に政府からの規制監督が課されているほか、金融商品の販売などの業務にもさまざまな法規制が課されています。このような規制監督の適否は、近年発達してきた法律の経済合理性を検討する「法と経済学」のアプローチで論じることができます。
このアプローチでは、法律の経済学的な根拠を明らかにすると同時に、経済学の観点から法律の趣旨を解説することによって、銀行の窓口など、法が運用される現場での応用に役立てることが期待されます。今回は「情報の経済学」に沿って、金融機関の存在意義、銀行免許、金融商品取引法の説明義務などを論じていきます。

全国市町村の「稼ぐ力」はどれほどか

2023年11月

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総務省が5年に1度実施する「経済センサス―活動調査」は、全国の企業、事業所の経済活動を、市区町村別、産業別に横断的に分析できる貴重な統計だ。本稿では「事業従事者1人当たりの純付加価値額」に焦点を当て、各地の「稼ぐ力」を確かめてみたい。
改めてみえてくるのは、地方経済の厳しい現実だ。地方創生は、1人当たり純付加価値額の向上に的を絞って、戦略を練り直すべきときである。

インフレについて

2023年8月

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わが国では1980年代以来、約40年ぶりのインフレに見舞われている。過去10年、政府・日銀はデフレからの脱却のためのインフレ促進政策を続けてきている。しかし、数字的にはようやく目標を達成したのに、生活不安から「物価高政策」という反インフレ政策がとられている。一方インフレの到来を契機に賃上げが行われ、これを歓迎する向きも多い。
一体インフレは良いことなのか、悪いことなのか?経済学の議論を手がかりに、インフレとは何か、その功罪などをあらためて論じていきたい。

ブロックチェーン、暗号資産、NFTの基礎知識

2023年5月

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暗号資産(仮想通貨)とNFT(非代替性トークン)は、ともにブロックチェーンと呼ばれるIT技術を基盤としている。特徴は、それ自体が「真正なもの」であることを証明し、かつ低コストで取引を行えることにある。たとえばデジタルアート(絵画など)を参照するNFTは、それ自体が唯一無二の真正なものであることを証明する技術であり、将来的にはメタバースへの応用が期待されている。
その一方で、暗号資産をめぐっては深刻な事件が後を絶たず、取引価格も乱高下を続けてきた。なぜ市場は熱狂と失望を繰り返すのか。本稿では、ブロックチェーンなどの基本的な特徴を確認し、将来への期待とリスクを考えてみたい。

アジア通貨危機から25年

2023年2月

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1997年は、日本国内では大手金融機関の破綻が続いたが、海外ではアジア通貨危機が生じた年であった。7月にタイから始まった国際通貨危機は野火のように、韓国までの東アジア諸国に広がった。四半世紀を経た現在から振り返ると、当時アジア特有のものと思われた危機は、2008年の世界金融危機の先駆けでもあった。
しかし2つの危機への政策対応は、対照的なものとなった。その後、東アジアは、痛みを伴った構造調整もあり、世界経済をリードするまで甦った。2008年の世界金融危機の後遺症はいまだに世界経済を暗雲で覆っている。
本稿ではわが国と経済関係を強める今日の東アジアを形づくったアジア危機と2008年の世界金融危機を、あえて現時点での後知恵も使って振り返ってみたい。

異次元緩和とは何だったのか

2022年11月

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日本銀行による異次元緩和の開始から、9年半が過ぎた。当初「2年以内の物価目標2%の達成を目指す」としていたが、実現しないまま「2年以内」の旗を下ろし、「粘り強く緩和を続ける」とだけ述べるようになった。今年4月、海外の資源価格や穀物価格の高騰を受け、物価はようやく前年比2%台に達した。しかし、日銀は「物価目標の持続的、安定的な実現には至っていない」として、緩和継続の姿勢を維持している。
日銀は「異次元緩和はデフレ脱却の実現に向け、大きな成果があった」と評価する。一方、市場機能の低下や財政規律の緩み、金融システムの弱体化などの副作用は、深刻さを増している。どう理解すればいいのだろうか。

1997年を克服する道

2022年8月

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1997年は、日本経済が大きな危機を迎えた年であった。それから四半世紀がたった。しかしいまだ長きにわたる不振が続いている。この間、日本経済の活性化策としてとられた自由化路線は思ったような効果をあげなかった。岸田総理は、その見直しとして「新しい資本主義」を謳っている。あらたな活性化策として、いま過去の日本経済の強みでもあった共同体的なモデルも見直すべきではないか。それは、SDGsやコ*1モンズなどの将来目指すべき経済モデルにもつながる。わが国には日本型イノベーションの特徴である「工夫」によって困難を打ち勝つ能力があった。いまそれを蘇らせることが1997年を克服する道であろう。

財政赤字と財政規律の系譜

2022年5月

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昨年末、NHK衛星放送が1982年の特集番組「85歳の執念」を再放送していた。第二次臨時行政調査会の土光敏夫会長の公私を追ったドキュメンタリーである。番組は「国の借金、国債発行残高82兆円。国家財政は今、破産の危機に瀕する」とのナレーションで始まる。あれから40年。いま国債発行残高は約1千兆円に達した。この間、財政規律維持の重要性が繰り返し唱えられ、赤字の圧縮も試みられた。しかし、その都度挫折した。最近は、むしろ財政規律を重視しない考えも台頭し、積極財政論が勢いを増す。なぜこうなったのか。このまま国債発行が膨らみ続ければ、何が起きるのだろうか。

日本銀行の歴史と日本経済

2022年2月

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日本銀行は1882年(明治15年)に誕生し、1942年(昭和17年)、1998年(平成10年)とほぼ半世紀の間隔で2度の法改正が行われました。この約半世紀ごとの改正は、わが国の経済の変化と同時に世界共通の経済発展の大きな流れを映じた面もあります。一方古い制度を覗いてみると現代に通じる新しい側面も発見できます。日本銀行法の変遷を通じて日本経済の発展をみることは、過去に新たな視点を与えてくれると同時に、将来をみるうえでの示唆も与えてくれるように思います。

日本経済を支える女性の労働参加

2021年11月

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昨年8月、安倍晋三元首相は辞任表明の記者会見で、政権を担った7年8か月の成果として「400万人を超える雇用を創出した」ことをあげた。過半は女性だった。もし女性の積極的な労働参加がなければ、生産年齢人口(15〜64歳)が減り続ける日本では、経済の回復もおぼつかなかっただろう。
しかし、雇用増加のわりに経済成長が緩やかにとどまったことも事実だ。実際、労働生産性(就業者1人あたりのGDP)は、今も低下を続けている。女性の生産性が低いわけではない。なぜこうなったのか。これをどのように解釈すればよいだろうか。

デジタル金融・通貨の行方

2021年8月

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デジタル経済への対応の遅れが、想像以上に日本経済の停滞を招いている。今対応が求められるデジタル経済はこれまでと内容が異なったインターネット中心の世界であり、ビジネス面でのデジタルトランスフォーメーションばかりでなく金融面でも新たな対応が求められる。すでに金融界では仮想通貨の登場から、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討などの動きがあるが、本稿でもデジタル通貨や決済面を中心に金融面での求められる対応を論じてみたい。

自然災害にどう備え、どう克服するか

2021年5月

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東日本大震災の発生から10年が過ぎた。最近は、台風や大雨による風水害も頻発している。昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大では、外出の自粛やソーシャルディスタンスの確保など、新たな対応も迫られた。
災害は、様々な姿と規模で突如現れる。企業は、規模の大小にかかわらず、従業員の安全確保と事業の継続に全力を注がなければならない。そのためには、災害をできる限り「想定内」として扱えるよう、業務継続体制の整備を図っておく必要がある。いつ起きるとも分からない災害に備え、私たちは何を心がけておくべきか。

銀行制度の行方

2021年2月

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低金利政策の継続、長年の経済停滞に加え、最近のデジタル化の進展などの環境変化のなかで日本の銀行制度は試練のときを迎えている。日本の銀行制度はかつて厳格な規制のもとで発展してきた。しかし皮肉なことに、銀行の苦境は金融自由化による規制緩和とともに始まっている。
規制には、経済合理的な規制に加え、政策的な規制がある。わが国の場合、政策的な規制は歴史的な合理性もあったが、その緩和は遅れがちであった。一方、自由化に向けた新たな体制への整備が遅れバブル等の問題が生じた側面もある。そして、わが国の銀行は自由化のメリットを活かせず今日に至っているように見える。
だが、金融資産が増加するなかで、金融のプロ集団である銀行に未来がないわけではない。現在日本の銀行はデジタル化の進展をふまえさらなる変革の波にさらされている。金融のデジタル化とはマネーとデータ(情報)の融合でもある。金融業とは情報生産業でもある。銀行は金融のプロとしてデジタル化を活かし発展することができる。

コロナ危機後の働き方
—リモートワークはなぜ難しいのか、どう克服するか

2020年11月

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コロナ危機は、私たちの仕事や暮らしを大きく変えた。リモートワークやオンライン飲み会など、新しい生活様式も加わった。治療薬やワクチンが開発され、効果が確実になるまでは、私たちは「新しい日常」を続けていく必要がある。
しかし、その後はどうか。ワクチンの接種が十分に進んだ後は、新型コロナウイルスも季節性のインフルエンザと似た扱いになるだろう。毎年患者は出るが、社会活動や経済活動は平常どおり続けられていく。そのときにも「新しい日常」は続けられるのか。あるいは以前の日常に戻るのか。通勤時間の節約は、たしかに人々の暮らしを豊かにする。そうであれば、リモートワーク移行への「壁」をどう克服すればよいだろうか。

見直しが必要な金融政策理論

2020年8月

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ここ30年、金融政策への期待が高まっている。特に不景気に対する金融緩和への期待が恒常化している。加えて最近は金融危機への救済策としても期待され、当然視されている。だが金融政策は万能なのだろうか?どんな政策もそうであるように、金融政策には効果と同時に限界もある。また副作用も生みかねない。金融政策が格差を助長しているとの批判もある。さらにこれまでの金融政策の理論は、経済が資産化した現在とはそぐわない面もある。
本稿では歴史もふまえて、金融政策が理論的にも見直しが必要となってきていることを述べていきたい。

人手不足はなぜこれからが本番なのか −データが語る労働力不足の行方

2020年5月

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地方の人手不足が著しい。若者が大都市圏に流出する一方、介護等の分野で新たな労働力が必要とされているからだ。それでもこれまでは、団塊世代を中心とする高齢者と若年・中堅女性の就業継続が労働市場を下支えしてきた。しかし、2020年代末までには団塊世代がみな80歳を超え、多くを期待できなくなる。
人手不足は早晩大都市圏に波及し、いよいよこれからが本番だ。深刻な人手不足を少しでも緩和するため、①外国人就業者受け入れのための環境整備、②女性の社会進出のさらなる促進、③70歳代半ば前後までの高齢層の就労促進を、強力に推し進める必要がある。

甦る永楽銭 −貨幣の将来とアジアデジタル共通通貨

2020年1月

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仮想通貨の登場で、貨幣の未来が注目されている。貨幣の歴史を振り返ると、技術の発展により姿を大きく変えてきており、仮想通貨の登場は決して不思議ではない。デジタル通貨といえば、すでに既存の貨幣の大半はデジタル通貨であるが、仮想通貨の最大の特徴はインターネットの通貨という点であり、そこに従来にない可能性がある。この技術的利点を利用すれば、通貨当局の協力により東アジア地域で同じ通貨単位で流通するアジアデジタル共通通貨が実現できる。共通通貨は経済面のみならず政治面でも大きな貢献が期待できる。

長生きの経済学 −長寿化の「計りしれぬ恩恵」と「コスト」

2019年11月

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日本の長寿化ぶりは世界でも際立つ。主要国で1、2位を争うだけでなく、そのスピードも速かった。多くの高齢者が2度目の東京五輪を楽しめるのも、長寿化の恩恵である。長寿は「国の豊かさ」の反映といえる。だが、長生きにはコストがかかる。試算によれば、長寿化、少子化が社会制度にもたらしたインパクトは甚大だ。財政赤字の拡大も、長寿化に伴う社会保障関係費の増大に起因している。財源を国債に依存するのは、子や孫の世代への負担の転嫁にほかならない。将来の世代に過大な負担を押し付けるわけにはいかない。健康の許す限り長く働き、給付を受ける側から保険料を納める側に回るよう、制度の変革を急ぐ必要がある。

日本経済の現実と将来

2019年8月

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長期の景気回復が続いた日本経済だが、いまだ将来展望が拓けたとは言えない状態にある。それは成長力という経済の実力が向上していないことが原因だ。現実を直視することはつらいが、日本はもはやかつてのような経済大国ではない。またその復活を夢見た大胆な政策も成長力の回復には成功していない。現状に即して、地道に成長力の回復を促す覚悟が必要だ。本稿では、巷間指摘されている視点とはやや異なる角度から、日本経済の現状把握と将来の道を探っていく。

グローバル経済はどこへ向かうか

2019年5月

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グローバル経済は、「貿易の時代」、「資本取引の時代」を経て、「情報の時代」へと移行した。第1段階では、インターネットの進化がグローバル・サプライ・チェーンの形成を促した。第2段階の現在は、ビッグデータや人工知能の進化を経済に取り込む過程にある。「貿易の時代」の感覚に囚われた米国トランプ大統領の思考は、サプライ・チェーンを分断し、世界経済を停滞させる。他方、米国が仕掛ける通商摩擦は、「情報の時代」の第2段階を先取りした面もある。隠れた争点はデータ利用をめぐる主導権の問題であり、解決には一層の時間がかかる。日本も、データの流通・管理を巡る国際的なルールづくりに積極的に関与する必要がある。

中央銀行員の経済学

2019年1月

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中央銀行や政策当局で働く人間は経済学をどのように使っているのだろうか。本稿では、筆者個人の経験も踏まえ、中央銀行員が経済学をどのように使っているのかを紹介したい。とりあげるのは、精緻で難解な経済分析ではなく、中央銀行員が日常に経済の問題を考える際に用いている簡単な分析である。これは万国の中央銀行で共通する「経済学的な発想」にも通じており、ビジネスで活躍する方にも、中央銀行員の発想を理解するのに役立つと思う。以下では、簡単な需要と供給での分析が意外と役立つこと、人々の心理に訴える「期待」を用いた政策の是非、経済学からみたバブルの問題などを紹介していきたい。

人はなぜ大阪、札幌、福岡に集まるのか

2018年11月

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日人口移動の特色は、「東京一極集中」でなく「大都市、中核都市への凝縮」にある。大都市では、東京23区、大阪、札幌、福岡への人口凝縮が際立っている。背景には、深刻な人手不足が地方から大都市に及んだことがある。大都市圏の経済は、もはや地方圏からの人口流入なしには成り立たない。一方、地方経済のない日本経済も考えられない。ならば、目指すべきは、日本経済全体が成長を続けるなかで、人の流れが変わる姿だ。決め手は、地方圏の1人あたり所得の向上にある。まずは、少ない人口でより多くの自然資源を活用し、生産性を高めることだ。

異次元緩和の問題点

2018年8月

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日本銀行がデフレからの脱却を目指して異次元緩和をはじめて5年が過ぎた。日本銀行では当初「2年程度の期間を念頭に」2%の消費者物価の上昇を実現させるとしていたが、1%にも届いていない。
原因は「通貨量を増やす」、「物価はいずれ上昇する」と日本銀行が唱えても、それによって物価が目に見えて上昇することはそもそも起こりえないからである。しかも、異次元緩和には深刻な副作用がいくつもある。それにもかかわらず異次元緩和を支持する人たちの多くは、異次元緩和の根本的な誤りに目をつむっている。

財政赤字の現状と処方箋

2018年5月

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内閣府がこのほど発表した「2016年度国民経済計算」によると、国、企業、家計などが保有している土地、建物等のわが国の正味資産はこのところ緩やかに増加し、経済に好影響を与えている。しかし、政府部門に限ってみると2017年か2018年には債務が債権を上回る債務超過に転じた可能性が高い。その大きな原因は、後期高齢者医療保険制度の自己負担割合が約1割と非常に低く、また保有している資産ではなく所得をベースに負担率が決定されていることなどにある。債務超過は民間企業で言えばいつ倒産しても不思議のない深刻な事態である。早急に改善策を考え実行しなくてはならない。

日本経済の現状と課題

2018年1月

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日本経済は緩やかな拡大の過程にあるが、家計は、所得が増えたほどには消費に積極的でなく、現金・預金が増加している。企業も、収益は既往最高の水準にあるが、消費や輸出がそれほど伸びないため設備投資はあまり盛り上がらず、現金・預金が増加している。しかし、卸・小売業では電子商取引(ネット通販)のウェイト上昇という「激流」のなかにあるなど、企業を取巻く環境は大きな変革期にある。
長期に亘って企業の存続を可能にする鍵は設備投資にある。いまこそ企業は、これまで身を切る思いで蓄えてきた内部留保を有効に使い、競争の少ない「ブルーオーシャン」市場で十分に活躍できる体質に転換して欲しいものである。

なぜ賃金の上昇は緩やかなのか

2017年11月

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4~6月期の実質GDPは前期比年率で+2.5%と6四半期連続で増加し、雇用面では1980年代後半のバブル期に迫る需給タイトな状態にある。しかし、賃金は僅かな上昇に止まっており、企業の先行きに対する見方も総じて慎重である。本ペーパーでは、なぜ賃金の上昇は緩やかで、企業心理は総じて慎重なのか、どうすれば日本経済を活性化させることができるかを考えた。

マネーが増えても物価はなぜ上らないか

2017年8月

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異次元金融緩和がはじまって5年目に入ったが、2%の物価目標を達成できる目途は立っていない。日本銀行がマネーを大幅に増やし続けているにも拘らず物価が上がらない理由は、マネーは経済拡大や物価上昇の「原因」ではなく「結果」であるからである。「結果」であるマネーを増やしても、「原因」である物価が上昇するはずはない。過剰な金融緩和は日本銀行の国債保有額を異常なまでに増加させ日本銀行の資産内容を不安定にしただけでなく、健全な金融システムを脆弱にしつつあるという点でも問題がある。

新たな景気一致指数から見た日米経済

2017年5月

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内閣府が発表している実質GDPは、このところ多少のアップダウンを伴いながらも緩やかに増加を続けている。しかし、同じ内閣府が発表している景気動向指数の「一致指数」はこの2年間低迷を続けていた。なぜ実質GDPと景気動向指数の間に乖離があるかというと、原因は景気動向指数を構成する指標が製造業に偏っていることなどにある。そこで、GDP統計の基本に立ちかえって新たな景気一致指数を日米で作り、両国の経済の特徴について考えてみた。

求められる「グローバル化」への正しい対応

2017年1月

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イギリスは国民投票でEU離脱を決定し、アメリカでは共和党のドナルド・トランプ大統領が選出された。これらはいずれも「まさか」とも言える出来事、あるいは「ポピュリズム(大衆迎合主義)の勝利」と捉えられている。しかし、それらはいずれも「グローバル化の進展」によって生じた「弊害」を取り除く動きであると考えると、むしろ当然の結果ということになる。また、そうであるなら、日本のデフレの原因も「グローバル化の進展」よるものであるから、そこに焦点を当てた対策こそが求められていることになる。

アメリカの金融政策の問題点

2016年11月

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アメリカの中央銀行であるFRBは昨年12月に政策金利である短期市場金利を7年振りに引き上げたが、その後は中国経済の成長鈍化が懸念されることや自国の雇用者数の増勢が鈍っていること、物価上昇率がまだ2%に達していないこと、などを理由に金利の引き上げに消極的である。しかし、失業率はすでにITバブル期やサブプライムローン問題の原因となった住宅バブル期並みの低い水準にあり、住宅価格と株価は既往ピークを更新し続けている。利上げに慎重なFRBの姿勢が、かつてのようにバブルを加速させることにならないか不安がある。

個人消費と設備投資の現状

2016年8月

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このところ日本の景気は今一つ元気がない。とりわけ冴えないのは個人消費であるが、中身をよく調べてみると、電気製品や自動車等の耐久消費財の低迷が大きい。原因は、前回の消費税率の引き上げ前の駆け込み需要の反動の影響に加え、その前の数年間に何度か実施された家電エコポイントやエコカー減税によって需要が先食いされてしまったことにある。円安によって輸入価格が上昇した影響も大きい。
日本銀行は物価の上昇を最重要目標に掲げており、輸出関連企業や市場関係者からは円安待望論が聞かれるが、円安によって生じた物価上昇によって消費者は消費を抑制しなくてはならず、それが景気の足を引っ張っているのである。

マイナス金利付き金融緩和の誤解とリスク

2016年5月

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日本銀行は物価目標2%を早期に実現するため、金融機関が日本銀行に預けている当座預金の金利をマイナスにする異次元金融緩和の第3弾を発表した。しかし、この政策にはいくつかの点で誤解がある。
そもそも日本のデフレは金融緩和によって解決できる性格のものではない。海外要因による物価の変動を金融政策でコントロールできると誤解している。また、金融仲介機能を低下させ、日本銀行の収益を悪化させるだけでなく、財政規律を弛緩させるリスクなども無視できない。日本経済が真に活力を取り戻すためには、個々の企業が創意工夫によって自らの企業価値を高めることが不可欠である。

日本経済が元気になる条件

2016年1月

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日本経済の先行きを展望したとき、大きなリスクとして中国経済の悪化、アメリカの金融引き締めの影響などがある。しかし、アメリカ経済が今後も順調に拡大を続け、原油価格も低位で推移するなら、今後2~3年は1~2%前後の成長を期待できるだろう。ただし、日本経済の豊かさを示すと考えられる指標(新「採算性指数」)を作り、その変動要因について考えてみると、採算性指数を改善させるような動きはまだ限定的で、日本経済が真に元気を取り戻すためには抜本的な対応が必要である。

中国経済の現状と課題

2015年11月

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中国経済は、かつては年率2桁台の成長を続けていたが、最近では7%前後まで減速している。しかもその数字がどこまで信用できるのか不安視する声もある。本稿では、最近の中国経済の減速の実情を実際のデータによって確認しつつ減速の原因について整理した。

原油価格の大幅低下と日本経済

2015年8月

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昨年後半から進んだ原油価格の大幅な低下により、これまでわが国経済の重石になっていた「海外に対する支払額の高止まり」という状態が大きく改善した。海外に対する支払額の減少はやがて国内消費や投資を刺激し、国内景気を押し上げることの期待できる「フォローの風」である。しかし、もう少し長い目で考えると、新興国は今後も高い成長が続きエネルギー需要が増えるため、原油価格はいずれ上昇に転じるであろう。

何が財政赤字拡大の原因か

2015年5月

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今やわが国の財政赤字は名目GDPの2倍に達し、財政危機がいつ発生しても不思議はない水準にある。なぜここまで大幅な財政赤字になってしまったかというと、一般には少子高齢化にあるとされている。しかし、過去に遡ってデータを調べてみると、2000年度と08年度に社会保障関係費の中の社会保険費が急増しているのが分かる。原因は2000年度からはじまった「介護保険制度」と、08年度からはじまった「後期高齢者医療制度」にある。これら2つの制度においては患者の自己負担率は1割に過ぎない。仮にこの部分が所得や資産の多寡に見合った負担率になっていたならば、財政赤字問題はかなり傷の小さなものであったはずである。

10年先の日本経済を読む

2015年1月

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10年先の経済を読むことは難しい。しかし、足許の経済の背後にあるさまざまな動きを注意深く観察すると、今の日本経済に欠けているものが見えてくる。それを一言で表現すれば、「多様化した経済への対応」ということではないだろうか。人々のニーズは溢れるモノやサービスの中でどんどん「多様化」しており、「多様な」新興国が存在感を高めてきた。しかも、ITの普及によって「多様な」情報が瞬時に地球規模で拡がるようになった。本稿では、新たな年を迎えたのを機に、10年先という視点から日本経済について考えてみた。

日本経済の本当の課題

2014年11月

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日本経済は20年越しの景気低迷とデフレから脱しつつあるとの見方が増えている。しかし、それは日本銀行の異次元金融緩和や公共投資の効果によるところが大きく、経済の足腰が本当の意味で強化されての改善ではない。むしろ、長期にわたって設備投資や雇用が抑制されてきた結果、設備・人員面での天井が低くなり企業経営の選択肢は狭くなっている。異次元金融緩和によって日本銀行の資産に占める国債のウェイトが高まることのリスクや、金利上昇が財政赤字をさらに拡大させるリスクにも注意が必要である。

日本経済の"アキレス腱"

2014年8月

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景気は緩やかな回復を続けている。しかし、輸出面では大幅に価格が低下し続けてきた電気機械のウェイトが非常に高く、輸入面では大幅に価格が上昇し続けてきたエネルギーのウェイトが高いことが輸出入採算を悪化させ、国内需要の減少に起因するデフレをもたらし、また、そうした状態が今も改善されていないことはあまり知られていない。

求められる採算重視の経営

2014年05月

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日本企業はこれまで数量を増加させることには熱心であったが、採算はあまり重視してこなかった。それが典型的な形で経営面に現れたのが電気機械で、いまその改善に多大の労力が注がれている。
しかし、数量が重視され、採算があまり重視されてこなかったという点では他の業界も基本は同じである。本稿では、日本企業のそうした実態をデータで確認することにより、何が日本企業に求められているかを考えてみた。

2014年以降の日本経済の見通し

2014年01月

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昨年のわが国経済は輸出の回復に復興需要増等が加わり2%近い増加が見込まれ、本年と来年も同程度の成長が期待できそうである。しかし、その後は復興需要の一巡等から成長率が鈍化する可能性がある。
このように当面の景気に大きな不安はないが、これに甘んじることなく世界経済をリードする強い商品・サービス力を創造し続けることが求められている。

為替レートの変動要因とその影響

2013年11月

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為替レートの変動要因についてはさまざまな考え方があり、難解な説明も少なくない。しかし、本当はそれほど難しい要因で変化してきたわけではない。為替レートは2つの通貨の交換比率であるので、それぞれの通貨が市場にどれだけ供給されているか、つまり二つの通貨の供給金額の「比率」で決まってくるからである。
本稿ではこのような考え方に基づいて為替レートの変動要因を明らかにするとともに、為替レートの変動が実体経済にどのような影響を与えるものであるのかを整理してみた。

「異次元」金融緩和の効果とリスク

2013年8月

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4月4日(木)、日本銀行はこれまでにない金融緩和策を発表した。今回の対策では、デフレからの脱却を目指し、マネタリーベースを年60兆円から70兆円増やし、2年後には残高を270兆円にするとされている。マネタリーベースは、現金と、金融機関が日本銀行に預けている当座預金の合計で、日本銀行が今回大幅に残高を増やそうとしているのは後者である。日本銀行では、日銀当座預金を大幅に増加させるため、金融市場から大量の国債を購入し続けるとしている。
以下では、このような「異次元」金融緩和策がわが国経済にどのような影響を与える可能性があるのかを考えてみた。

デフレの実態とその原因

2013年5月

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物価は経済活動の健全さを表す指標と考えられており、なかでも消費者物価指数(以下では「CPI」という)は家計の消費生活に関わる財・サービス価格の変動を示す指標として重視されている。しかし、現在使われているCPIはデフレの度合いを適切に表す指標でないことはほとんど知られていない。また、何がデフレや景気低迷の原因であるかという点でも大きな誤解がある。
そこで以下ではどんな意味で今のCPIに問題があるのか、なぜわが国ではデフレと景気の低迷が続いているのかを明らかにしたい。

BUSINESS REPORT

廃校の活用で地域の賑わい再び

2024年11月

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少子化に伴う児童や生徒の減少等により、毎年、全国で廃校が生じています。廃校は自治体にとって貴重な公有財産であり、地域の賑わいや雇用創出につなげるために有効活用している事例も見られます。
京都銀行と京都北都信用金庫は、令和2年8月に京都府福知山市と「公民連携促進に関する連携協定」を締結しています。その一環で行っている廃校活用の事例紹介・視察ツアーの様子をご紹介させていただきます。

DXへ一歩踏み出そう

2024年8月

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DX(デジタルトランスフォーメーション)は日本全体を見れば着実に進んできました。しかし、デジタル化やDXという言葉に苦手意識を持つ人は少なくないと思われます。
デジタル化やDXを行うことで業務の効率化が進むことを理解していてもなかなか踏み出せない方のために、まずは中小企業のDXの進捗度合いや課題を見ながら、業務効率化に踏み出すために何から始めたらよいかチェックをしていきたいと思います。

脱炭素化に向けた「しる」の次のステップ

2024年5月

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「脱炭素社会」「カーボンニュートラル」といった言葉が定着してきました。このBUSINESS REPORTでも何度か取り上げ、他のレポートでもよく取り上げられています。しかし、脱炭素化に向けて「しる」ことをできた方は増えましたが、脱炭素化に向けた「実践」はできているでしょうか。今回は、脱炭素化に向けて弊社が行っているGHG(温室効果ガス)を「はかる」、「へらす」コンサルティングの事例をご紹介させていただきます。

3つのステップで考える人材戦略②

2024年2月

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昨今の人材不足を解消する手段として、中小企業庁は2023年6月に「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」を発表しました。ここであげられている3つのステップのうち、前号(2023年11月1日・第142号)では1つ目のステップ(経営課題と人材課題を見つめ直す)を紹介しました。今回は、その続きについてご紹介します(前号は当社HPに掲載しています)。

3つのステップで考える人材戦略①

2023年11月

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今年5月、コロナウイルスが第5類感染症に移行したことで、全国的に観光客はコロナ禍前の活気を取り戻しています。景気が緩やかに持ち直している一方で、主に中小企業のサービス業を中心に人材不足が深刻になっています。生産年齢人口の減少傾向もあり、今後人材不足はさらに深刻になると考えられています。今回は、当社で行っている調査をもとに人材不足の状況を確認し、その課題解決の一助となる人材戦略を中小企業庁が発表しているガイドラインに基づいて紹介します。

生成AIが変える社会

2023年8月

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AI(人工知能:Artificial Intelligence)が驚異的なスピードで進化を続けています。特に、2022年11月にオープンAIが発表した「ChatGPT」、その後2023年2月にマイクロソフトが発表した「Bing」やグーグルが発表した「Bard」といった生成AIは世界中で反響を呼んでいます。今回は「ChatGPT」について活用方法をご紹介します。

カーボン・クレジットとは?

2023年5月

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2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。温室効果ガスの「排出量」から植物等による「吸収量」を差し引いてゼロにするカーボンニュートラルは企業でも取り組みが始まっています。
このカーボンニュートラル実現に向けての1つの手段であるカーボン・クレジットとは何か、民間企業でも取引可能なJ—クレジット制度についてご紹介します。

3つの「不」の解消で持続可能な社会へ

2023年2月

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地方を中心に過疎化、限界集落化が進んでおり、地域産業の空洞化が深刻な課題となっています。こうした課題を解決するためには、デジタルの力で地方を活性化させることが重要です。「新しい資本主義」の重要な柱の一つとして掲げられているデジタル田園都市国家構想とはどういうものなのかについてご紹介します。

中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き

2022年11月

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変化の速い社会において、企業が顧客視点で新たな価値を創出し続けるためには、デジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という)が不可欠になっています。経済産業省ではDX推進に取り組む中堅・中小企業等の経営者の参考になるよう、事例を交えて解説した『中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き』(以下「手引き」という)を公表しています。今回は手引きの内容をご紹介します。

2022年のキーワード DX時代の業務デジタル化

2022年8月

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近年の急激なデジタル技術の進展に伴って、企業・団体でさまざまなDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みが進んでいます。
しかしながら、DXの本来の目標である、変革による新たな価値を創造して競争上の優位を確立することは困難な様相です。一方、業務のデジタル化を容易に実現できるITサービスが提供されるようになってきたことから、それらの活用が望まれます。

2022年のキーワード 「メタバース」と「デジタルツイン」

2022年5月

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近年、コンピュータ上に実現される仮想空間の活用が増えてきました。メタバースもデジタルツインもその仮想空間で展開される技術・ビジネスです。急速なデジタル化の進展で様々なビジネスへの活用が始まり、ゲーム業界とIT業界が競って開発しています。

2022年のキーワード 中小企業における脱炭素経営

2022年2月

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近ごろ、脱炭素社会に向けた話題や取り組みを耳にする機会が増えてきました。菅義偉前総理大臣が2020年10月に「2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」ことを宣言し、日本国内でも脱炭素社会の実現に向けた動きが急速に進んでおり、企業活動においても対応が求められています。

2021年のキーワード 中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)

2021年11月

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近年、新聞や雑誌などでDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を目にすることが多くなりました。DXとはどのようなものなのでしょうか。またDXはどのように進めればよいのでしょうか。簡潔に説明します。

2021年のキーワード 脱炭素社会の実現に向けて

2021年8月

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2020年10月、菅首相は所信表明演説で2050年までに脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。社会全体で達成を目指さなければならないため、多くの企業に影響することが予想されます。今回は、所信表明演説後の2020年12月に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の概要と、その中から脱炭素社会を読み解くために必要なキーワードを抜粋して解説します。

2021年のキーワード—SDGs達成の鍵 循環経済(サーキュラー・エコノミー)

2021年5月

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昨今、SDGsの考え方が普及し、事業活動の中に取り入れる企業が増えてきています。そうした中、欧米の企業を中心にSDGsの目標を達成するための具体的な方法論として「循環経済(サーキュラー・エコノミー)」が注目されています。今回は循環経済について紹介いたします。

2021年のキーワード—事業活動とSDGs

2021年2月

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SDGsには社会がかかえる課題が包括的に網羅されており、その「持続可能な開発目標」とは要約すると、「私たちの生活や地球を守りながら、さまざまな問題を解決して豊かな未来をつくるための目標」と言い換えることができます。そのSDGsが、ビジネスの世界では経営リスクを回避し、新たなビジネスチャンスを獲得するなど、企業の発展を追求するためのツールとしての一面があることに注目が集まっています。
自社の事業内容とSDGsの各目標との紐づけを行うことによって、ビジネスチャンスが見つかり、潜在的な企業価値の気づきにつながります。

BCP(事業継続計画)の策定方法について
—中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」を中心に

2020年11月

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長引くコロナ禍や毎年上陸する台風や地震などへの対策が必要な企業も多いのではないでしょうか。その対応策として注目されるBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定手順について掲載されている中小企業庁のHPの内容を中心にご紹介します。

働き方改革—テレワークについて

2020年8月

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新型コロナウイルスによる影響から、テレワークを導入する企業が増えています。多くの企業にとって、今のところテレワークは新型コロナウイルスの感染防止のための外出自粛に対応する緊急措置として広がっています。ただ近年、世界的にフリーランサーやテレワーク利用の会社員が増えており、日本でも場所・時間に縛られない柔軟な働き方が普及する時期にあります。

2020年のキーワード② 次世代の交通MaaS(Mobility as a Service)

2020年5月

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近年日本では、交通インフラに関するさまざまな課題をかかえています。問題を解決するサービスとして、MaaS(Mobility as a Service)という新たなモビリティサービスが注目され取り組みが始まっています。

2020年のキーワード Society5.0とSDGs

2020年1月

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グローバル化の進展により、一国の経済問題が瞬時に他国に連鎖するのと同様に、気候変動、自然災害といった問題も地球規模の課題となり、それが経済成長や社会問題にも大きな影響を及ぼす時代になりました。
こうした状況下、2015年9月に先進国と開発途上国がともに取り組むべき国際社会全体の普遍的な目標として「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が国連で採択され、その中で持続可能な開発目標(SDGs)として17のゴール(目標)と169のターゲットが掲げられました。
日本政府は「SDGsと連動するSociety 5.0 の推進」、「SDGsを原動力とした 地方創生,強靱かつ 環境に優しい魅力的なまちづくり」、「SDGsの担い手として 次世代・女性のエンパワーメント」の3本柱を中核とする「日本のSDGsモデル」を国際社会に共有・展開しています。

デジタルトランスフォーメーション(DX) AIの実用化に向けた取組事例

2019年11月

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AIは私たちの日常の身近な商品・サービスに組み込まれはじめており、多くの人が AIを一度は使用したことがあるという時代が到来しています。そんななか、日本の労働人口は今後、2015年比で2030年には735万人減少すると予想されており、AIに代表される自動化技術は、高齢化や人手不足などの課題をかかえる企業が多いなか、この深刻な労働力不足への切り札として注目を集めています。今後、AIの実用化によって日常業務にどのような変化が起こるのか、また課題に向けて企業がどのような取り組みをしているのかについて、2つの例をご紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)自動運転とアジャイル開発

2019年8月

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前回、デジタルトランスフォーメーション(DX)をすすめる新たなデジタル技術の一例として「5G(第5世代移動通信システム)」をご紹介しました。今回は、5Gと同様に新たなデジタル技術の一例として取り上げられている「自動運転」について各社の取組事例をご紹介するとともに、デジタル技術を迅速に取り入れるための方法である「アジャイル開発」についてもあわせてご紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)5G(第5世代移動通信システム)

2019年5月

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前回、デジタルトランスフォーメーション(DX)について取り上げ、DXをすすめる新たなデジタル技術の一例として「5G( 第5世代移動通信システム)」をご紹介しました。
今回は、「5G」の概要について、もう少し詳しくご紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)について—「2025年の崖」とは

2019年1月

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最近、新聞・雑誌等でよく目にするデジタルトランスフォーメーション(DX)とはどのようなものでしょうか。また、その背景にはシステム業界が直面することとなる「2025年の崖」があるといわれています。
経済産業省はDXに関して、平成30年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を発足させて検討を重ね、9月に中間とりまとめを公表しました。今回は、「2025年の崖」および「DXとはなにか」について簡単にご紹介します。

政府統計の総合窓口e-Stat活用入門②

2018年11月

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平成30年1月、「政府統計の総合窓口 e-Stat」=政府統計のポータルサイト(総務省統計局が整備し、独立行政法人統計センターが運用管理を行っている)のシステムが刷新され、新たに運用が開始されました。
前号(2018年8月1日第121号)に続いてe-Statの活用方法をご紹介します。

政府統計の総合窓口e-Stat活用入門

2018年8月

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平成30年1月、「政府統計の総合窓口 e-Stat」=政府統計のポータルサイト(総務省統計局が整備し、独立行政法人統計センターが運用管理を行っている)のシステムが刷新され、新たに運用が開始されました。
このサイトは各府省が公表する統計データをひとつにまとめ、統計データを検索したり、地図上に表示したりできるなど、たくさんの便利な機能を備えています。本稿では中小企業のマーケティングに活用可能なサイトをご紹介します。

AIスピーカーがわが家にやってきた

2018年5月

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昨年10月以降、AIスピーカー「LINEClova」「Google Home」「AmazonEcho」が日本国内で順次発売されました。人の音声を認識し、インターネットにつながり、AIが質問や指示に応えてくれる。スマートフォン同様、新たなプラットフォームとなりうるワイヤレスのスピーカー。
本稿ではAmazon EchoとAmazon製のAIアシスタント「Alexa(アレクサ)」を中心に、何ができ、今後どのようなサービスが考えられるのかを簡単にご紹介します。

準天頂衛星「みちびき」日本版GPSが自動運転を支える

2018年1月

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昨年10月10日、日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星「みちびき」4号機が打ち上げられました。これにより日本の準天頂衛星システムは4機体制となり、今年度には本格運用の予定です。
みちびきによる高精度測位は今話題の自動運転の実現に不可欠です。本稿では、みちびきの現状と今後について簡単にご紹介します。

〈コネクテッド・インダストリーズ〉ビッグデータの利活用促進の取り組み

2017年11月

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今年3月にドイツで開かれた「国際情報通信技術見本市(CeBIT2017)」で、わが国産業が目指す姿「コネクテッド・インダストリーズ(Connected Industries)」が示されました。キーワードは「様々なつながりにより新たな付加価値が創出される産業社会」。たとえば生産者と販売業者の「つながり」が社会課題を解決し付加価値を生み出す社会の実現が期待されています。本稿では「気象データ」の利活用促進により社会の生産性の向上を目指す取り組みの一端を紹介します。

i-Constructionによる建設現場の生産性革命

2017年8月

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平成28年9月、総理大臣官邸で第1回未来投資会議が開かれ、「建設業の未来投資と課題」について議論が行われ、第4次産業革命による『建設現場の生産性革命』に向け、具体的な方針が決定されました。本稿では、その柱となる『i-Construction(アイ・コンストラクション)』についてご紹介します。

オープンイノベーションが未来の扉を開く

2017年5月

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「オープン・イノベーション」が日本の未来の扉を開く鍵となっている。本稿ではトヨタ自動車のオープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)における取り組みについてご紹介します。

第4次産業革命を支える3つのキーワードとは

2017年1月

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昨年の6月、経済の好循環を持続的な成長路線に結びつけ、「戦後最大の名目GDP600兆円」の実現を目指すために閣議決定された「日本再興戦略2016」。このなかで特に取り上げられた「第4次産業革命」を支える3つのキーワード「ⅠoT(Ⅰnternet of Things)」「CPS(サイバーフィジカルシステム)」「AⅠ( 人工知能)」についてご紹介します。

日本版DMOによる観光地域づくりについて

2016年11月

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京都府で「海の京都DMO(一般社団法人京都府北部地域連携都市圏振興社)」が設立されました。京都府と北部7市町で、地域主導によるブランド観光圏を形成することを目的としています。
政府は地域活性化のため「日本版DMO」の形成による観光地域づくりを推進しています。本稿ではDMOの概要と求められる役割等についてご紹介します。

ビッグデータ活用の現状と地域経済分析システムRESASについて

2016年8月

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ビッグデータという言葉が登場したのは、2011年頃。当初は多くのメディアに取り上げられましたが、実際に活用している企業は多くありませんでした。その後、大量データを分析・活用する技術の進歩と国による公共データ民間開放等により、ビッグデータの具体的活用の機運が高まっています。ビッグデータ活用の現状と国が提供する地域経済分析システムRESAS(リーサス)についてご紹介します。

スポーツにおけるICT技術活用の現状について

2016年5月

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2020年にはオリンピック・パラリンピック東京大会が開催されますが、過去の東京、長野大会がICTの技術革新を進める原動力となったともいわれています。現在ICT技術がスポーツにどのように活用されているか、また、今後期待される技術について紹介します。

観光立国日本を考える

2016年1月

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2003年、外国人の訪日を促して経済の活性化を図る「観光立国」宣言が当時の政府によってなされた。それによって「ビジット・ジャパン・キャンペーン」がスタートし、海外広報や外国人旅行者向けの環境整備などの事業を実施し、外国人の呼び込みに努めてきた。
2003年当時、海外旅行へと出かける日本人は1,330万人、これに対して日本を訪れる外国人旅行者は521万人にすぎなかったが、2015年1月~11月(推計値)の日本人海外旅行者は1,487万人、外国人訪日旅行者は1,796万人となり、通年での逆転が確実な状況にある。それとともに外国人旅行者の消費活動によって、新たな巨大市場が誕生し、経済に大きな刺激を与えている。

売電から自家消費へ

2015年11月

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FIT(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)の導入により、大きな飛躍をとげた太陽光発電市場が転機を迎えている。買取価格のプレミアム期間が終了し、年々買取価格が低下していくなかで、FITに代わる成長モデルが描けるかどうかだ。
発電電力の自家消費をめざした新たな環境ビジネスの可能性を探る。

変貌する人材マネジメント

2015年8月

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人手不足感が広がっている。最近の人手不足の背景には景気が持ち 直してきていることのほか、総人口の減少を上回る労働力人口の減少や仕事の内容の変化などの構造的な 要因があり、人件費の上昇圧力につながることも想定されるだろう。
このため、企業では人員の充足だけでなく、経営を価値創造型へ転換し、商品やサービスの付加価値を高めることが求められているのではないだろうか。そこで、こうした課題解決に向けた2つの動きをみていこう。

個人消費の2020年問題

2015年5月

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消費税率引き上げ後の個人消費の回復の勢いは思いのほか弱い。こうしたなか、日本はすでに高齢化と本格的な人口減少時代に入っており世帯数も2020年から減少に転ずるとみられている。個人消費の主体は家計であり、世帯主の高齢化や世帯数の変化が個人消費に少なからぬ影響を及ぼすことが想定されるだろう。
では、これから世帯の構成がどのように変化し、家計の消費や経済にどのような影響を及ぼすのか少し考えてみよう。

すべてのモノがネットにつながる

2015年1月

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ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)をめぐってパラダイムシフトが起こっている。パソコンだけでなくさまざまなモノに通信機能をもたせインターネットにつなぐ「モノのインターネット」IoT(Internet of Things)である。
IoTにより産業がネットワーク化し、新しい製品やサービスが生まれ企業の事業領域が広がることが予想される。こうしたなか、新年は守りから攻めのICT化投資が求められるだろう。

クラウドソーシングが経営と雇用を変える

2014年11月

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日本では構造的に生産年齢人口が減少するなか、女性や高齢者などの潜在的な労働力を掘り起こすとともに、企業のイノベーションを加速し成長力を高めることが課題となっている。こうしたなか、注目されるのがインターネットを通じて企業の外部から人材や情報などの経営資源を調達するクラウドソーシングという仕組みである。クラウドソーシングは米国では2000年ごろから始まったが、日本においても広がりをみせはじめた。

人口減少時代に入った住宅市場

2014年8月

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日本は人口減少時代に入り、住宅需要のベースとなる世帯数も頭打ちとなり減少に転ずることが予想されている。また、人口構造も住宅を取得する若い世代が減少し、高齢者のいっそうの高齢化が進んでいく。
こうしたなか、既存住宅の流通市場やリフォーム市場の拡大が課題となっているが、これから日本の住宅市場はどのような方向に進むのか、最近の住宅をめぐる動きをみていこう。

変化はみずから創りだせ

2014年5月

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アベノミクスの成長戦略では、イノベーションを加速することによりクリーンエネルギーや次世代インフラなどの新たな成長分野を切り開き、市場の創造につなげることがうたわれている。一方、足元では3Dプリンターやビッグデータなど産業構造のパラダイムを変えるような技術も芽生えている。
これまでも、新たなイノベーションに対する対応いかんで企業のパフォーマンスは明暗を分けてきた。そこで、こうした環境変化に企業はどう対応すべきか、すこし考えてみよう。

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「0」と「1」がビジネスを変える

2014年1月

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デフレからの脱却が日本経済の喫緊の課題となっているが、デジタル化の進展によりモノづくりやモノの売り方が変わり、物価をはじめとした経済現象にも少なからぬ影響を及ぼしてきた。
そして、インターネットなどのデジタル技術を利用したビジネスの世界では、これまでの現実のモノを対象とした経済原理とは異なるデジタルエコノミーが広がりをみせている。

ビッグデータが社会を変える

2013年11月

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アルタミラの洞窟壁画から始まり、象形文字、印刷機、コンピュータと文明は世界の現実をデータとして記録し、伝達、加工することにより発展してきた。
近年、膨大なデジタルデータがコンピュータ・ネットワーク上で生成され、流通、蓄積されている。
こうした、ビッグデータをどう活かすか、企業では、ビッグデータを活用して商品やサービスの付加価値を創造する取り組みが始まっている。

人口構造の4つの変化と多極化する消費

2013年8月

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先ごろ発表された国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、これから急速に日本の人口構造が変化する。
年齢や世帯構成により、「どこで」、「何を」買うか消費者の行動には違いがあり、これまでも人口構造の変化により商業の業態も変化してきた。
そこで、人口構造の変化により消費者の行動や商業の業態はどう変化するのか、少し考えてみよう。

1988年から未来を考える

2013年5月

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本誌ファイナンシャル・フォーラムは1988年に創刊され、このたび100号を迎えた。
1988年というと、日本ではバブル景気が過熱、世界では東欧の自由化と中国の経済改革が進み、日本企業をめぐる経営環境も変貌をとげた時期であった。
では、この四半世紀で企業の経営環境はどう変化したのか。
そして、これからどこへ向かうのか、少し考えてみよう。

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