美術研究支援制度:2023年度

京都銀行の「美術研究支援制度」は、京都市立芸術大学の学生が制作された作品を毎年継続的に購入することによって制作者の美術研究費用を支援するもので、優れた芸術の創造・振興に寄与することを目的として2001年に創設いたしました。
購入作品をホームページ上でご紹介することによって多くの方々にご鑑賞いただき、文化・芸術振興の一助になればと願っております。

  • 個々の作品についてのお問い合わせにはお答えいたしかねますのでご容赦願います。

購入作品のご紹介

2023年度購入作品(制作者の敬称略)

羨望

谷住 奈菜子 日本画 65.2cm×53cm

使い古された骨董品たちに堆積する、見知らぬ誰かの記憶に想いを馳せるのが好きです。
私は彼らが紡いできた長い歴史に追いつく術を持たず、時折その事実に言いようのない切なさを感じますが、それでも傍にいさせてほしいという願いを込めました。

素材:麻紙、岩絵具、水干絵具

内包する繭

松田 唯 日本画 72.7cm×60.6cm

人体の形を構成に落とし込みながら空間の奥行きと広がりについて模索しています。自身の人体構成では無機的な線としてでの人体にとどまらずその先にある物語性をはらんだ画面作りを目指しています。

素材:紙本着色

on that night (sea level)

峰松 沙矢 油画 116.5cm×115.0cm

他者と目を合わせることの相互関係から生まれる両者のずれに関心を持ち、日常の中での記憶と画面の傷から微弱なイメージである自己が保たれる要因を2つの同じイメージを描く制作の中で探っています。

素材:キャンバスに油彩、水彩、パステル、オイルパステル

無題

櫻井 正樹 油画 85cm×71cm

街中の壁と、そこでの現象をモチーフに制作しています。壁に起こる汚れや塗膜の剥がれ、褪色等の自然現象と、そこに落書きをしたり塗り直すといった人為的行為が折り重なって止揚していく様に面白さを感じ、フレスコ画の技法を用いて作品を作りました。

素材:木製パネルにアクリル絵具、顔料、土、漆喰、モルタル接着増強剤、合成樹脂塗料、膠

mirare

川島 瑠保 版画 86cm×68cm

鏡を介して映し出された空間は実物より遠のいた存在になってこの世に存在する物であるかどうか疑ってしまいます。版表現を通して実像と鏡像が入れ子になり、空間が広がることを考えて制作を行なっています。

素材:いづみ紙、油性インク

ぼんやり

WU YUJI 版画 56cm×76cm

和紙のパルプを砕いて形を整え、漉いた紙を「版」として再版する。 紙の繊維が持つ言語的な特性を生かすことで、見えるものと見えないものの「間」にあるイメージを描くことができる。
目に見えるものと目に見えない感情が交錯し、心に安らぎを与えてくれる、風が吹くような一瞬の恍惚感をとらえたい。

素材:和紙パルプ作品、インク、アルシュ紙

香炉 満開

楊 飄雪 陶磁器 44cm×31cm

赤い椿岩根絞をモチーフとしてデザインした作品。花が咲くダイナミックな過程は焼き物によって表現しました。鮮やかな色彩が萼に包まれた闇から生まれる美しさを装飾と造形を通じて見る人に伝え、伝統的な香道具が新しい形を持って再び人々に愛されたいと願います。

素材:磁土、黒陶土、釉藥、漆

ご馳走みっけ!

小野 里紗 漆工 30cm×47cm×25cm

リスがご馳走を咥えて元気に駆ける様子を制作しました。クスノキの塊を地面に見立ててそのまま使用することで、木の表情を活かしています。生き生きとしたリスの姿を表現するため、動きのあるポージングや彫跡にこだわりました。

素材:アクリル絵具、漆、イチョウ、クスノキ、ケヤキ